大空412 ページ31
安定side
「俺達も行こ。主から目を離すとまた無茶しそうだし」
「そうだな」
清光が立ち上がると、山姥切達もそれにならう。
「あ…清光」
「ん？なに？」
「あ、いや…その」
僕はなぜか清光を呼び止めてしまった。
「…先に行きますよ」
「うん。ありがと」
僕達の様子を察した太郎さんが清光にそう言いながら、部屋を出て行った。
そして今、この部屋には僕と清光だけになった。
「安定も、行くでしょ？」
「え？」
いつもと変わらない声音でそう聞く清光。
さっきまで、敵対してたのに。
よく考えれば、僕はお前に刃を向けたのに。
「どうして…」
「え？何、どうしたの？
あ、そっか。
俺の態度のせい？
主のこと、"主"って言ったじゃん。
それってさ、俺達の側についたってことじゃないの？」
「あれは…」
口が滑っただけ………
………いや、違う。
そうじゃない。
そうだ。
僕は、確かにあの人達を"主"と認識して言った。
でも、それは……
「他の連中を裏切ることになる…とか思ってる？？」
「っ…！」
「大丈夫だって。
いつか、ぜっっったい皆分かってくれる。
主はああいう人だしさ。
自然に惹きつけられるって言うか、接しやすいって言うか？」
清光は、そう言って笑う。
今まであったことが全部無かったかのような笑顔だ。
「まぁ、とにかく！
今は俺達側でいいでしょ？
それに、急がないとお腹空きすぎて気分悪くなっちゃうよ！」
と僕に手を差し伸べる。
僕は、その手を取り、引っ張られる。
僕は…あの人達の温もりに触れた。
あの人達がどんな人なのかを知った。
そして、清光達の"仲間"になった。
後でちゃんと主に言わないとね。
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