大空316 ページ39
NOside
カエデは冥界島内部を飛びながら思考を巡らす。
残りの九鬼門、迫る強敵、虹の炎……頭の中には考える事が次々に浮かんでくる。
「(ガジルから得た炎は『霧』の属性……だがマーモンやフランのように有幻覚はまだ作れないな……)」
恐らく7属性全ての炎を得ても虹の炎を作る事が出来ないとカエデは感じていた。
他の属性の炎を使いこなしている訳ではないからだ。
「それでも……みんなは絶対に守る!!」
カエデは決意を新たにスティングとローグの元へと向かって行った……
冥界島より遠く離れた空域
巨大な生物が黒い翼を広げてものすごいスピードで空を駆けている……その生物の進軍は分厚い雲を吹き飛ばし空気を震わせている。
その生物は進行方向の眼下に一つの島を見つけた。そこまで大きな島ではなかったが人の営みを確認することができた。
その生物は何を思ったか島の上空で静止すると大きく息を吸い込んだ。鋭い牙が生え揃ったその大きな口に凄まじいエネルギーが集中している。
眼下の島の人々は自分の姿に気付いたのか悲鳴をあげながら無意味にも逃げ惑っている……その滑稽な様を何の感慨もなく見下ろしながらエネルギーを解放する。
その瞬間、大気を震わす轟音と衝撃が炸裂して視界を白く染め上げる……視界が色を取り戻した時、そこに存在したはずの島は跡形もなく消え去っていた。
無意味に、ただの気紛れによって多くの命が喪われたが、何事もなかったようにその生物は再び目的地に向かって去っていった……
その生物は最強の種族であるドラゴン……ただし他のドラゴンよりも一回り大きな体躯を持っている。
ドラゴンの名はアクノロギア……黒き絶望の翼が目指すのは冥界島……
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