虹空312 ページ30
[Noside]
ジャッカルには最早目の前の敵を倒す力は残っておらずただ恐怖していた。近づいて来る男に精一杯強がった笑みを浮かべる。
「き、今日はこのくらいにしといたる!ほなさいなら!!」
そう言い残すと180度振り返り脱兎のごとく逃走した。とにかく振り返らずに走り続ける……どれだけ逃げただろうか。ここまで来れば大丈夫と後ろを向いて驚愕した。
そこにはカエデが悠然と歩いてきていた。それだけでなくかなり走ったはずなのにさらに後方にルーシィとラクサスとヨミの姿も見えた。
「どういうことや!?」
訳も分からず混乱するジャッカルだが近づいてきたカエデに殴りかかろうとしてさらに驚愕する。
ジャッカルが見たのは本気で殴ろうとした自分の腕が文字通りゆっくりとスローモーションのように進んでいく光景だった。
「(ワイの動きが鈍くなっとる!?)」
ジャッカルはあまりに混乱している為、カエデの拳の炎の色が青色になっているのには気付いていない……
「スクアーロさんの炎…」
「青色の炎は雨の炎。雨属性の炎の特徴は沈静……お前はもう自由に動く事はできない」
カエデの炎の色が青から再び赤へと変わる……カエデはかつて己を兄と慕っていた男の技をイメージしながら炎をナイフの形へと変えて自分の周りにいくつも浮かべた。
ジャッカルは逃げようとするも意思に反して体がゆっくりとしか動かない。絶望するジャッカルにカエデは無慈悲に告げる。
「
「かっ……っ……はっ……!」
浮かんでいた赤い炎のナイフが次々とジャッカルへと突き刺さり、さらには嵐の分解の炎の効果で突き刺さった箇所から肉体を破壊されていく。
声にならない悲鳴をあげながらジャッカルは遂に地に倒れ伏したのだった……
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