君に届く音（JW紫×青） (ページ9)

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流「おれこの部屋入るの初めてやねん。使ってる人いるの知らんくて。だから、あんたにとってはおれの方が邪魔やろ。」

寝転んだまま、目線を外して言葉を続ける。

流「おれのこと気にしなくていいから。寝てるだけやし、いつも通りにしとってや。」

再び目を閉じた彼は、眠りに入ってしまったのか、そこから一切動かない。

随分とマイペースな人やな。そんなことを思いながらも、次の講義までの時間がまだたくさん残ってることもあり、お言葉に甘えて室内へ。

彼のいるグランドピアノとは反対の位置、たくさん並ぶイスの一つに腰をかけ、手に持っていたパンの袋をビリビリと破る。

ムシャムシャとパンを頬張れば、音一つない静かな空間に、俺の咀嚼音だけが小さく空気を揺らしていた。

彼は本当に寝てしまったのか。

お腹にあてた手が上下に動く光景だけが、かろうじて彼が眠っていることを証明しているようやった。

陽の光を目一杯浴びながらピアノの上に横たわり、金色の髪に光を反射させているその光景は、なんだかそこだけが異世界のようで。

まるで美術館に展示される彫刻や絵画のように見えたんや。

なぜだろう。初対面の人に思うことやないはずなのに。