【第/五/人/格】最期に送るlとe

十一頁目 ページ12

3冊目を読み終えた頃にはすっかり日が暮れていた。

本から目を離した時には部屋が暗くなっていて一人で勝手に驚いた。昼食を摂るのも忘れていたし、人間の集中力は凄いものだなと感心した。

読んだ感想を述べるならやはり面白かった。

例を挙げるなら「医者に言われてどちらが患者にとっていい回答か？」の項目。

"7割の確率で手術は失敗する"と"3割の確率で手術は成功する"では後者の方が患者にはいい印象を与えたという。

双方何も言っていることは変わらないのだが、人間第一の印象が大事であっていい事を最初に言っておけばそれを前提として次の事を考える。

分かりやすく言えば、"最初に悪印象を抱いた人物には好印象を抱きにくい"だろうか。勿論抱きにくいというだけである。

なので悪印象が好印象に変わる事だってあるし、その方がただ好印象を抱くよりも効果が大きい。

その逆もまた同じで好印象から悪印象に変われば、ただ悪印象を抱くよりもっと悪いイメージを持つ。

これをゲインロス効果っていうらしい。
他にも窮地に陥った人の言動だとか変な内容も載っていたりもしたが、充分に有意義な時間を過ごせた。

しかし、気になる点が1つだけあった。
この3冊の内どれにも彼が言っていた心理テストが見当たらなかった。

彼は一体どの本を読んだんだろうか……。


と思案していると突如「私は死んでないわ！！！」というウィラさんの怒声、その直後にガシャンという何かが割れた音が響く。

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