十頁目 ページ11
「この状況で仕事をしていた5人を僕は何の悪意なく殺せてしまうんだ。5人は何も知らないまま死んでしまうからね。事故だと言っても過言ではないだろう？利用と切り捨ては器用に生きていく為の大事な要素だ」
「あ、あの！ところでなんでこんな質問を？」
なんだかその先は聞いてはいけないような気がした。話の流れを切るようにそう言った。
それを聞いた彼は一瞬、ほんの一瞬だけだが無表情になった。それはすぐに元の人当たりのいい笑顔に戻る。
「……簡単な心理テストさ。書斎で珍しい本を見つけたからなんとなく読んだのさ。それを試してみたくなっただけだよ」
彼は先程から同じく笑みを浮かべている。
やはり気のせい、だろう。
多分慣れない場所に来ているから目やら精神的に疲れているんだ。
彼は皿の上に置いたトーストを再び食べ始めた。
……彼が言っていたようにここの館の書斎にはそんな変な本もあるのか。
多少興味が湧いたし今日は書斎に行ってその本を探して読んでみよう。
朝食を食べ終えた後、先程ノートンさんが言っていた心理学の本を探しに書斎に来た。
よく考えれば心理テストなのに、彼は結果を聞くだけ聞いて回答を得られていないのだ。
扉を開ければ少し埃っぽい空気が私を出迎える。
壁には一面に本棚があり二度目ではあるもののやはり圧倒された。
しかし、この中から目的の本を探すとなるとかなりの時間を食いそうだ。先に書斎の中でどの本がどの場所に分類されているか記したものを探した方が良いだろう。
試しに近くの机を見に行ってみると都合良く分類表があった。それを見れば本の内容によって8区分してあるようだ。
自然科学、文芸、技術、歴史、哲学、言語、総記に分類されているようだが、心理学はこの中では哲学だろうか？
試しに哲学分野の本棚を探してみるとそれらしき本が3冊ほど見つけられた。
手に取ってみると意外にもずっしりと重く意外と厚さがあった。今日はこれだけで時間を潰せそうだ。
ワクワクしながら机まで本を運び椅子を引き、私は1冊目の表紙をめくった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
野菜 - 感想ありがとうございます！こんな褒められると思ってなかったので嬉しい限りです。引き続き頑張りますので是非たのしみにお待ちください！ (2019年6月27日 16時) (
レス) id: d6aefcc85a (このIDを非表示/違反報告)
saniwanotori(プロフ) - 背景推理からとても丁寧に物語を構成されていて読み応えがありました。不穏な描写の表現も天才的でドキドキしながら読ませて頂きました。こんなに面白くてとても素敵な作品に出会えて幸せです！切実に消さないで欲しいと思いつつ、続きを楽しみにしております (2019年6月26日 23時) (レス) id: 9faba28f95 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：野菜 | 作成日時：2019年6月22日 13時
