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三十一頁目 ページ34

この荘園に来て3度目の起床。遂に今日が最終日、ゲーム当日だ。

たった3日間と半日しか過ごしていないというのに2週間は居たような気分にすらなった。
しかしこの生活に漸く終止符を打てると思うと少なからず気分は良くなった。
急いで支度を済ませて庭へ一度向かう。

扉を開けて庭の隅に乱雑に置かれた作業道具の中から鋤を手に取る。
手に取ったら分かった事だが思ったよりも古い物だったようで多少破損している。粗暴な扱いをすればすぐ壊れてしまいそうで昨日咄嗟に鋤と答えてしまった事に後悔した。

他に使えそうな物はないかと庭をくまなく探してみたが結局鋤以外に使えそうな物はなく、これを持っていくしかなかった。

食堂に戻ると皆が既に朝食を食べている。そういえばこの4日間の内で全員が集まって食べる事など無かったのでなんだか違和感すらある。

私も席に着き朝食を食べる。今日はいつもより朝食の量は少なかった。動き回ることを考えての配慮なのだろうがそれすらも飼育上の一環なのだろう。あぁ、なんと気味の悪い。

「あら、おはよう。貴女は結局何を持っていくの?」
「おはようございます。私はこの鋤を持って行きます」
そう言うとウィラさんは少し顔を顰める。

「ボロボロで汚れてるじゃない、そんなもので大丈夫なの?」
ごもっともな意見を言われて言葉に詰まる。

「……職業柄1番手慣れてるので!慣れないものを使って失敗したくないですし」
精一杯の言い訳をしたがどちらにせよ使い道が無い上壊れかけであって説得力は皆無に等しい。

「……そう?貴女がいいならいいのよ」
「それじゃあケチをつけるな」と言う言葉はパンで流し込んだ。もちろんのこと味は感じられなかった。

三十二頁目→←破れた手記3



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野菜 - 感想ありがとうございます!こんな褒められると思ってなかったので嬉しい限りです。引き続き頑張りますので是非たのしみにお待ちください! (2019年6月27日 16時) (レス) id: d6aefcc85a (このIDを非表示/違反報告)
saniwanotori(プロフ) - 背景推理からとても丁寧に物語を構成されていて読み応えがありました。不穏な描写の表現も天才的でドキドキしながら読ませて頂きました。こんなに面白くてとても素敵な作品に出会えて幸せです!切実に消さないで欲しいと思いつつ、続きを楽しみにしております (2019年6月26日 23時) (レス) id: 9faba28f95 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:野菜 | 作成日時:2019年6月22日 13時

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