【銀魂】私のたいせつな人【斉藤終】

山崎さんという人 ページ4

【桜井Aside】




山崎さんは私の隣で、せっせと包帯を取り換えてくれていた。



＿＿＿山崎さんといえば、"監察"というものをやっている人だ。…つまり、潜入捜査なんかもやる仕事であり。


『……山崎さんって、すごい方ですよね』

「………え、っと、何がです？」



山崎さんは不思議そうにこちらを向いた。


『山崎さんは、監察の仕事をやっていると聞きました。…潜入捜査なんかもやってらっしゃるんですよね』

「そうですけど……まあ、アンタらみたいに腕っぷしはないですがこっちの仕事では役に立てると思います」

『…いえ、それがすごいと思います。』




はは、と苦笑いする山崎さんだが………本当にすごいと思う。



『…昨日、囮をやっていて思ったんです。こんな感じのことを主な仕事とする監察の方は、すごいなって。』

「…まあ、こればっかりはいつもやってることなんで、アンタらには大変でしょうが、多少は慣れてるんでしょうね。……でも、副隊長も昨日の囮なかなか良かったと思いますよ。初めてとは思えんくらいです」

『ありがとうございます。…でも、俺なんて襲われる直前になって怖気づいてしまいました。そのあと隊長が来てくれたので良かったですが………まだまだ未熟ですね』




「………いやアンタ、襲われかけてたんですか！？…いや、ひどい怪我だったし、されたのは主に暴力かと思ってたんですが…」

『……あ、そっか、隊長は喋らないし、あの後すぐに病院に行ったから、皆さんは何があったかなんて知りませんよね』



一人納得していると、山崎さんは目を真ん丸にして驚いている。



「………そんなの、十分じゃないですか。まだ10代の女の子なのに、襲われかけて正気でいられる人なんかいませんよ、きっと。しかもいきなりの実践だからなおさらですよ」

『ありがとうございます。…でも、俺は皆さんに見守られている状態でしたから、単独で潜入しにいく山崎さんはやっぱりすごいです。』




………とてもじゃないが、後ろに真選組の人が構えてくれていなかったら、囮なんてできていなかったと思う。



「はは、ありがとうございます。そんな褒めてくれんのはアンタくらいですよ」




…山崎さんは困ったように笑った。




(＿＿＿＿それだけ、信頼されているってことなんだろうな。)




密偵に、潜入捜査に……こんな精神を削られる仕事をこなすことなど、普通の人では不可能に決まっている。…本当に、すごい人だ。

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