【銀魂】私のたいせつな人【斉藤終】

"愛されてる" ページ6

【桜井Aside】




山崎さんが私を心配そうに見るなか、私は涙を拭っていた。＿＿＿＿＿と。





「山崎ｲｲｲｲｲ!!!!!テメ、何女泣かしてんだ!!」

「ひいぃっ!!ふ、副長!?」



鬼の形相で副長が走ってきた。



「俺は何もしてませんって!!」

「現在進行形で泣いてんだろうが現行犯逮捕だテメー」

「理不尽んんんん」



＿＿＿＿穏やかだった屯所が、一気に賑やかになる。………ああ、なんていうか。




(好き、だなぁ)



…この空気感が、この賑やかさが。



「………あり、起きたのかィ」

『沖田さん、』

「何でィ、山崎に泣かされたのかィ」

『違いますよ、俺が勝手に泣いただけです』



…山崎さんと副長がわちゃわちゃやっているのを縁側に座って眺めていると、沖田さんが相も変わらず仏頂面で私のところへやってきた。



「土方さん、Aが山崎に泣かされた怖いですって言ってまさァ」
『言ってませんけど!?』


「そうか……山崎、覚悟はできてんだろうな…」
「いや、違います誤解です!!刀しまってください!!」



刀の銀色をチラつかせ睨みつける副長に山崎さんは青ざめた顔をしている。…そして私の横には、ニヤついた沖田さんがいる。



『あの、沖田さんはなぜここに』

「土方の怒鳴り声が聞こえたんで面白そうなこと起こってないかと思って」

『…あ、そですか』



いつのまにやら涙なんてものは引っ込み、今は隣のドSさに苦笑いを浮かべる。







「＿＿＿＿まったく、桜井副隊長が起きるまで静かにしろって言ったのは副長だってのに、本人が一番騒がしいじゃねェか」

「まったくだ、これで起きたらどうすんだ……、って、やべ」




＿＿＿と、私たちの後ろでそんなことを話す隊士達が歩いてきた。…振り返ってみると、あからさまに"やべ"と顔に出ている隊士2人がおり。



(私が起きるまで?副長が?)



先ほどまでえらく静かだったのは、まさか…なんて考えていると。




「……オイ、お前ら、それこいつの前では言うなって言っただろうが」

「すすすすみません副長!!!」

「…とりあえず終呼んで来い、3秒以内で」

「かかかかしこまりましたあああ!!!」






＿＿＿＿鬼の副長ともあろうお方が、



(……私のために、そんな気遣いを…?)




…いつもであれば賑やかな屯所が穏やかだったのは、どうやら副長の計らいらしい。…しかも、私に気づかれないように。




(……"愛されてる"、か…)



山崎さんの言った言葉が、温かく心の中で響いた。

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