【銀魂】アンタの落とし方2巻【沖田総悟】 (ページ22)

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番外編① デート、しませんかページ22

"デート、しませんか"＿＿＿＿…総悟のその一言は、凄まじい破壊力だった。

退院からしばらくが経ち、体力も大分取り戻してきた今日この頃。

突然、彼はそう言った。＿＿…耳を、真っ赤にして。

(あんなに堂々と告白して、口付けだってしたのに…)

いつものポーカーフェイスから放たれた少し緊張したその声が、私の心を鷲掴みにした。かわいいにも程がある。

…だが、かくいう私も、自分には不相応にも思える"デート"なんて言葉が、なんだかくすぐったい。

＿＿…当日を迎えた今、約束の時間までかなりあるというのに、目の前では散々悩まれた着物たちが並べられている。

(…いや、はしゃぎ過ぎ)

服なぞに時間をかけて悩むだなんていつぶりか。
…思いの外浮かれている自分に苦笑が溢れる。

だが、あの総悟の隣を歩くのだ。その憎いほど整った顔立ちは、やはり皆の目を引く。…そんな人の隣を歩くには、自信が欲しかった。

(…もうちょっと若かったらな)

どうしても目に見てわかる私には無いその総悟の若々しさはとても眩しく、傍から見てもそう映るのだろう。

…きっと、というか全く総悟は歳など気にしていないのだろうが…私も、気にするつもりも無かったのだが、やはり少し気になってしまった。

(…乙女か、私は)

もう25だぞ、とツッコミを入れ、ようやく決めたその着物に袖を通したのであった。

＊

(…早く着きすぎたな)

身内に見られるという少々の気恥ずかしさから、わざわざ待ち合わせをしていた。

落ち着かずにかなりはやく辿り着いたのはAの方であった。

お化粧もして、髪も結って、綺麗な着物に袖を通して＿＿…

鏡に映る自分に、毎回頬が緩む。

…ちょっとでもいいなと思ってもらえたら、なんて。

「…ねえ、お姉さん素敵だね、ひとり？」

＿＿…ひっかかったのは総悟ではなく、見覚えもない男。

『あー…すみません、待ち合わせでして』

早く着きすぎる弊害だったか。いわゆるナンパである。

…ナンパなんてのも久しいものだった。普段ここまで着飾ることも無い。

チャラチャラとわざとらしいその笑みに、思わず距離を取る。……が、すぐさま距離は詰められる。

待ち合わせの時間も近づいており、あまりその場を離れたくはなかった。

…だが、致し方ないか、とその男を撒こうと意に決して背を向けようとしたところを。

「オイ、この人に何か用ですかィ」

…後ろに引かれる感覚と、聞き慣れた声。