私の隊長 ページ40
【桜井Aside】
___…とうとう着物にまで手をかけられてしまった、その時。
_____"バーーーーーン"と、戸が蹴破られた。
「………真選組!?」
……そこに、現れたのは。
『たい、ちょ……う』
私が慕う、その、口下手だがこの上なく頼もしい、その人であった。
__男が私を人質にとるよりも先に、隊長はものすごい速さで男を倒した。
『隊長、』
……ああ、この人がいるだけで、こんなにも安心するなんて。
先ほどまでの恐怖はなんだったのだろうと言わんばかりに安心した。
蹴破られた戸の向こう側からは、騒がしい声が聞こえてくる。………まだ、粛清の途中なのだろうか。………まあ、ともかく。
『来てくださって、ありがとうございました!』
…自然と、笑みが零れた。____だって、この人が着た瞬間、ほんとうに嬉しかったのだ。
隊長は私を縛っていた縄をほどいてくれた。
『…ありがとうございます、たい__』
お礼を言ってる途中で、ふいに引き寄せられ、目の前が黒に覆われた。………私の後頭部と腰のあたりには、あったかい感触を感じる。
____しばらく考えて、やっと自分の置かれている状況を理解する。
(____…隊長に、抱きしめられてる)
………私の顔には一気に熱が集まり始めた。…と、同時に。
(本当に、ありえないくらい安心する。)
やはり男の人だし、真選組で鍛えられているからか、目の前の胸板は逞しく、肩幅は私の一回りか二回りくらい広く、私はすっぽりと隊長の腕の中に納まっていた。
『………隊長?』
隊長はいつもの如く口を開かないため、どうしてこんなことをしているのか、わからない。…心配でもしてくれたのだろうか。
……しばらくすると、隊長の抱きしめる力が強まった。……まさに、ぎゅううっとされてるというか。
(__久々に、こんな風に抱きしめられた気がする)
しばらく人のあたたかさを、直に感じることがなかった。……だから余計に、安心感が増していく。
………しばらくすると、隊長の腕がカタカタと震えていることに気が付いた。
(……そうか、)
隊長からすれば、私は殺されてしまうかもしれないと思っていたのかもしれない。…私の場合は、殺されないとわかっていたけれど。
………もしかしたら、そうなのかな、と思うと。
___不謹慎かもしれないが、大事にされているみたいで、とても嬉しかった。
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やまなな(プロフ) - ゆるさん» 返信が遅くなってしまい、大変申し訳ございません。御覧いただきありがとうございました!私も終兄さん好きなので、ご覧いただけて嬉しいです! (2021年3月4日 12時) (レス) id: 2a45d58c1c (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです!個人的にも終兄さん好きなので嬉しいです! (2020年5月8日 9時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
やまなな(プロフ) - 颯さん» まさか今も見てくださる方がいらっしゃるとは…!!こちらこそ、本当に有難いです!!応援ありがとうございます、励みになります。更新頑張ります!! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2f769ce501 (このIDを非表示/違反報告)
やまなな(プロフ) - ピエロさん» 大変返信が遅れてしまい、申し訳ありません!!ご覧いただき、ありがとうございます! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 2f769ce501 (このIDを非表示/違反報告)
颯(プロフ) - 久しぶりの更新有り難きです!!凄く好きな作品なので応援しております!頑張ってください! (2020年3月16日 9時) (レス) id: 9993f1b014 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまなな | 作成日時:2019年1月5日 23時