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偏在する本 ページ6

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 本屋に辿り着いた私は事前に調べた情報を元にそそくさと彼の本を探しはじめた。

(さて、買う予定の本は……っと)

 まず足を向けるは、古き良き出版社からの文庫本がズラリと詰められた本棚の林。おおよそ検討づけた箇所の本の背を舐めまわように見ていく……お、あったあった。一冊目、純文学の本ゲット。
 純文学なんて国語の教科書ぐらいでしか読んだことがない。パラパラとページを捲ってみればなるほど、これは確かに大衆(エンタメ)小説には見られない芸術性が感じられる。もっとも、文字の芸術は私の範疇外なので雰囲気で感じているのだけれど。

 パタリ、と本を閉じて次の目的地(本棚)に向かう。もう夕方で人があまりいないとはいえど、立ち読みを長らくできるほど図太い神経は持ち合わせていないのだ。



 数分歩いた先に広がる景色は先程とはうって変わってカラフルになり、そしてどことなく「オタク」を感じる……そう、ライトノベルの本棚だ。
 純文学とラノベを書いている小説家はいることにはいるがあまり見かけない。だから興味が湧いて純文学とセットで買いたくなったのだ。

 目当ての本をすぐに見つけて手に取る……あ、SNSで見た事のある絵描きさんだ。フォローも追っかけもしてない方だけれど名前は知っている。
 内容の方はというと、どうやら王道ファンタジーもののラノベらしい。出涸らしのネタでどこまで面白く書けているのか、しかも一巻完結で纏まった話を書けているのかという事が気になった。
 ───そういえば、この人が手がけてる作品は全て一巻完結していたっけ。このご時世にシリーズ作品を書かないなんて珍しいな、と思いながらレジへ歩みを進めた。



(あれ、これも夢野幻太郎が書いた本?)

 ピタリと足を止めたところにあるのは『最近よく売れてます!』という手書き案内が添えられた数十冊の本が立ち並ぶコーナー。
 『雪と出鱈目』という本は大衆小説……なのだろうか。日本十進分類法でいうところの「913」だとは思うが、なにぶん事前に調べていなかった本なのでよく分からない。

(せっかくだし、もう一冊買っても良いでしょう)

 棚からそろりと本を取ると、ハードカバーのこの本は持っていた二冊よりも手にズシリときた。学校鞄もあるから帰りは大荷物で大変かもなぁなどと思いつつ、今度こそはとエンマークの標識を追いかけた。

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有栖 幻月@ポッセ同盟(プロフ) - こんにちは。更新停止は悲しいですが、今までの中で凄く謎があり、魅力的なストーリーをありがとうございます!もしまた夢小説を書ける機会があればその時は必ず読みます!ボードも読ませて頂いていました!勉強等、頑張って下さい!執筆が再開出来るのを待っています! (2021年1月18日 18時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)
GH(プロフ) - 有栖 幻月@ポッセ同盟さん» 読んでくださっている方がいると分かって嬉しいです…!ありがとうございます〜! (2021年1月5日 13時) (レス) id: a35742dc57 (このIDを非表示/違反報告)
有栖 幻月@ポッセ同盟(プロフ) - 何時も楽しく読ませて貰っています。所々に謎があるストーリーがとても好きです。これからも頑張って下さい! (2021年1月5日 11時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:GH | 作成日時:2020年11月3日 10時

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