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避けていた事 ページ30

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「不思議?私が何かしましたか?」

した(﹅﹅)こともあれば現在進行形でしている(﹅﹅﹅﹅)こともあると思いますが?」

「……何の話でしょう」

「そうですねぇ。まずは一つ目を……おや」

 ピッポー……と響く信号機の音を合図に人々がどっと動き出す。会話は一旦停止し、シブヤを象徴するスクランブル交差点の流れに乗った。ずっと人混みに流されていればいいのになんて思いながらも現実はそうはいかない。私たちはかの有名犬の銅像がある広場に着いた。

「少し止まってください」

 隣から声をかけられ、青年は立ち止まった私と向かい合うように移動する。自然と私は彼の顔の方を見た。



「Aさん。あなたは先程からどこを見ているんですか?」



「……」

 つうっと背中に冷や汗が流れるのを感じる。視界に映る優しげな薄草色の瞳が今は怖かった。
 どうして。なぜ。今まで誰にもバレたことがなかったのに───初めて会うような人にバレてしまうものか。きっと私に不審な点がないか鎌をかけているだけなんだ。

「……なにか、変ですか?」

 絞り出すようにやっとの思いで言う。笑顔を崩すな。私は無害です、何も悪いことはしていないんです───だからやめて。わたし(﹅﹅﹅)を表に引きずり出さないで。

「ただの違和感ですよ。ほら、目を見ているのに一切目線が合わないんです……引き留められた時からずっとね」

(……やめてください)

 私の思いも虚しく青年は淡々と事実(﹅﹅)を述べる。ぎゅっと握った手に脂汗が滲む。焦燥、後悔、躊躇、哀傷───様々な感情が胸に蠢く。

 やっぱりヒトと過剰に関わるべきじゃなかったんだ。私の……わたしの思いをソラナミが蔑ろにしたからだ。そんな私への罰なんだ。
 目の前の青年は何も悪くないのに嫌いになってしまいそうになる。そして、そんな自分に吐き気がする。私は良い子でいないといけない。ヒトが怖くても信頼できなくても自分を守るために良い子にならなければならない。

(でも……なぜ私は「やめろ」と言わないんだ……?)

 彼はきっと物分りが良い人間だ。やめろと言えばそれ以上言わないだろう。なのに、なんで私は言おうとしない?……自分のことなのになぜ分からない?
 どちらも答えが出ないまま、私は彼の疑問を聞くことになる。

「あなたはどうして焦点を意図的にズラしているのですか?」

 さて、私はなんと答えようか?

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有栖 幻月@ポッセ同盟(プロフ) - こんにちは。更新停止は悲しいですが、今までの中で凄く謎があり、魅力的なストーリーをありがとうございます!もしまた夢小説を書ける機会があればその時は必ず読みます!ボードも読ませて頂いていました!勉強等、頑張って下さい!執筆が再開出来るのを待っています! (2021年1月18日 18時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)
GH(プロフ) - 有栖 幻月@ポッセ同盟さん» 読んでくださっている方がいると分かって嬉しいです…!ありがとうございます〜! (2021年1月5日 13時) (レス) id: a35742dc57 (このIDを非表示/違反報告)
有栖 幻月@ポッセ同盟(プロフ) - 何時も楽しく読ませて貰っています。所々に謎があるストーリーがとても好きです。これからも頑張って下さい! (2021年1月5日 11時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:GH | 作成日時:2020年11月3日 10時

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