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賭ける人 ページ19

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 じっと黙っていたピンク色の青年───飴村さんはニコニコと笑って元気に答えた。仲間だからその程度どうって事ない、ってところなのだろうか。私には知る由もないが。

「んじゃ、これからここで仕事の話をするってことか?」

 有栖川さんの問いにそうですね、と夢野先生が返答する。

「と、なると……俺はいない方が良さそうだな。今日はこの辺で退散するわ」

「別に帝統ならば居ても構いませんよ?」

「いいっていいって。俺は金を稼いでこなきゃならねぇからな」

 瞬間、空気の流れが止まったような感覚がした───残念ながらこの理由も私には分からない。

「……えっと、明日は槍の雨でも降るのでしょうか」

「帝統大丈夫?病院紹介してあげよっか?」

「おい!どういう意味だよ!」

「だって、道行く人々皆に「お金貸してくださぁ〜い!」……と土下座して回っていると名高い有栖川帝統くんですよ? 明日は世界が終わるかもしれません」

「へ〜!帝統ってそんなことしてたんだ!」

「は!?俺はそんなことした記憶ないぞ!?おい幻太郎!俺は夢遊病にでもなっているのか!?」

「まぁ嘘だけどね?」

「なんだよっ!」

 散々な言われようである。信頼されているのか、されていないのか。しかし、会話内容とは裏腹に嫌な雰囲気が全くしないのは何故だろうと私は純粋な疑問を持った。三人ともどことなく楽しそうなのはどうしてなのか、と。
 ……これも、私には知る由ないことだ。関係ない。

「とにかく、俺は種銭稼ぎに行くからな!じゃーな!」

「種銭、なんですね……」

「ばいばーい☆ また来てねっ」

 バタンと音を立ててモスグリーンのコートは消えた。「種銭」、「お金貸してください」……つまり、この事から連想できるのは……投資?

「真面目に働くこともできるでしょうに。何故あの男はあそこまでギャンブルに執着するのでしょうか」

「でも、ギャンブル好きを取り去った帝統なんて帝統じゃないからね〜あのままで良いんじゃない?」

「一理ありますね」

 有栖川さん本人がいないところでも散々な言われようである。相変わらず悪い雰囲気のしない不思議な会話だ。

 投資家ではなく賭ける人(ギャンブラー)、か。デザイナー、小説家、ギャンブラーという変な組み合わせは何の縁で出会ったのか……少しだけ、気になった。

 ほんの少し、だけ。

sensation→←嘘つきの文豪



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有栖 幻月@ポッセ同盟(プロフ) - こんにちは。更新停止は悲しいですが、今までの中で凄く謎があり、魅力的なストーリーをありがとうございます!もしまた夢小説を書ける機会があればその時は必ず読みます!ボードも読ませて頂いていました!勉強等、頑張って下さい!執筆が再開出来るのを待っています! (2021年1月18日 18時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)
GH(プロフ) - 有栖 幻月@ポッセ同盟さん» 読んでくださっている方がいると分かって嬉しいです…!ありがとうございます〜! (2021年1月5日 13時) (レス) id: a35742dc57 (このIDを非表示/違反報告)
有栖 幻月@ポッセ同盟(プロフ) - 何時も楽しく読ませて貰っています。所々に謎があるストーリーがとても好きです。これからも頑張って下さい! (2021年1月5日 11時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:GH | 作成日時:2020年11月3日 10時

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