一目惚れだった ページ10
「…すみません、取り乱してしまって…。」
「いいんです。気にしないでください。」
涙を拭きながら、小さく一息ついた彼女を近くのベンチに座らせた後、自分も隣に座る。
微妙な沈黙が流れる。静かで、音全てが消えそうで、遠くから聞こえる歓声さえもなんだか鬱陶しく思えて。
「...薄々、感じてはいたんです。」
「え？」
「浮気。」
「あ...。」
そうなんですか。と言うのは違うし、酷いですね。と言うのもなんだか違う気がした。
なんとも言えず、黙っていると隣の彼女は乾いた笑いを出した。
「ハハッ、馬鹿みたいですよね！自分ばっかりが愛してて、相手は全く愛してくれてなくて。なんかそれじゃあ付き合ってるのに片思いみたいじゃないですか！バッカみたい！...ホント、バカみたい...。」
彼女は上を見上げ、手で口を押さえた。その瞳にはまた青があって。
僕は下を向いたまま、口を開いた。
「...バカじゃないです。」
「...え？」
「一生懸命好きになって、降って泣いちゃうくらい愛してたなら、それはバカではないです。あなたは、何一つ間違ったことなんてしていない。」
まっすぐ、その綺麗な目を見て僕は言う。
気づいてほしくて。
あなたは間違ってない。
あなたは素敵な人間だ。
きっとあなたには、彼よりもっと素敵な人が似合う、と。
そんな僕の想いに、気づいて欲しくて。
すると彼女は大きく目を見開いたあと、小さく微笑んでこう言った。
「ありがとうございます。」
と。
その時、僕の背後から大きな声がした。
「よ・し・あ・きぃ〜！！！聞こえるなら返事しろぉ！」
「え？あ、あー！ヤバイ、戻らなきゃ！」
そこには大きく手を振る友達の姿が。しばらく離れていたので、探しにきてくれたのだろう。
「じゃ、じゃあ！失礼します！」
そう言って駆け出したその時、
「あ、あの！」
後ろからの声が僕の足を少しだけ止めた。
振り返ると彼女は大きく笑ってこう言った。
「本当に、ありがとうございました！
あなた、とっても素敵な方ですね！！」
それだけ言った彼女は、へにゃっと笑って、通路の反対側にかけて行った。
「え...。」
僕はそのまま、友達が僕の肩を叩くまで、その場で固まって動かなかった。
それが僕が、彼女ーー東雲沙也に恋をした日のことだった。
ラッキーQuizKnock＆東大王メンバー
岡本沙紀さん
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ｶｰﾝﾚﾝ - 祥くん…尊い…。ホントに好きです、このお話！ (2020年9月29日 22時) (
レス) id: b11d0cfa2b (このIDを非表示/違反報告)
ほしみ(プロフ) - 桜月花さん» (´∀｀*)ｳﾌﾌ これからもどうぞよろしく… (2020年3月3日 19時) (レス) id: d485cad35d (このIDを非表示/違反報告)
桜月花(プロフ) - ほしみさん» ひゃああ〜〜〜！！ありがとう！！！私もほしみちゃんの話好きよ…！ (2020年3月3日 19時) (レス) id: 8714acda80 (このIDを非表示/違反報告)
ほしみ(プロフ) - 最高です。 (2020年3月2日 23時) (レス) id: 5d963df972 (このIDを非表示/違反報告)
桜月花(プロフ) - ぽろろっかさん» コメントありがとうございます！わ〜っ！とっても嬉しい誉め言葉です(*^▽^*)是非今後もよろしくお願いします！ (2019年12月20日 19時) (レス) id: ab99525799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜月花 | 作成日時：2019年9月26日 21時
