実は、 ページ43
ひんやりとした風が頬を撫でる。
ポケットを揺らすのは携帯のバイブレーション。
あぁ、こんなこと前にもあったなぁ。なんて。
付き合い始めてすぐのQuizKnockのみんなといった飲み会を思い出す。
ただ、あの時とは違って、嬉しくない脱走だけれど。
「あ、あの…祥彰、さん？」
隣で静かに遠くだけを見つめる彼に恐る恐る声をかける。怒ってそうだなぁなんて思って思わずさん付け。しかし、彼は特に何の返事もせず、ただただ遠くに見える空だけを見つめている。
「え、えっと、あの」
「ねえ、沙也。」
急に発せられる声。
彼のほうを見ると、彼は小さく微笑んでいて。
「大丈夫？何もされなかった？」
「え…う、うん。ちょっと腰触られたけど、すぐ祥彰が来てくれたから…。」
「そっか。ならよかった。」
そういって、今度は笑顔で、また先ほどのように空を見つめる。
何が見えるんだろうと、私も彼が見ている方を見る。
月が。月だけが浮いている。
濃紺の空に、ぼんやりとその光だけが浮かんでいる。
「大学のクイ研同士の飲み会。」
「え？」
「そういわれてきたんでしょ。」
「え…そ、そう！なんでわかったの？」
「ふふっ、僕もそうだったからさ。」
あぁ、そうだったんだ。だから彼も、普段絶対に行かない合コンなんかに。
納得して、さらに安堵のため息が漏れる。
「彼女、そういえただけで満足だったな。」
「あ…そうだよ、あれ！！ちょっと恥ずかしかったんだけど。」
ぷくっとほほを膨らませて言うと、彼はまた目を細める。
「え〜いいじゃない。実際彼女なんだし。」
「そうだけど…。それで、この後どうするの？」
「せっかくだし、可愛い彼女さんの家に泊まっていきたいんだけどなぁ。」
「…もう、今日だけだからね。」
そういって、二人で歩く。冷たい風が頬を撫でる。
空の月が光る。影が落ちる。
「…諒太君には感謝しないとなぁ。」
「え、なんかいった？」
「ううん、なんでも。」
2人の影だけが、まっすぐと伸びていく。
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「よし。祥彰、無事和解したってよ。」
「あ、マジ〜？よかったぁ、山本君が頼んでおきながら、あんな芝居までして喧嘩別れとかされたら困っちゃうし。」
「それな。」
「にしても山本君も諒太も、演技上手かったねぇ。腰に手まで回したりしちゃって。」
「真衣こそ、よく顔赤くできたな。天才かよって」
「へっへ〜ん、真衣ちゃんは天才なのです。」
ラッキーQuizKnock＆東大王メンバー
岡本沙紀さん
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ｶｰﾝﾚﾝ - 祥くん…尊い…。ホントに好きです、このお話！ (2020年9月29日 22時) (
レス) id: b11d0cfa2b (このIDを非表示/違反報告)
ほしみ(プロフ) - 桜月花さん» (´∀｀*)ｳﾌﾌ これからもどうぞよろしく… (2020年3月3日 19時) (レス) id: d485cad35d (このIDを非表示/違反報告)
桜月花(プロフ) - ほしみさん» ひゃああ〜〜〜！！ありがとう！！！私もほしみちゃんの話好きよ…！ (2020年3月3日 19時) (レス) id: 8714acda80 (このIDを非表示/違反報告)
ほしみ(プロフ) - 最高です。 (2020年3月2日 23時) (レス) id: 5d963df972 (このIDを非表示/違反報告)
桜月花(プロフ) - ぽろろっかさん» コメントありがとうございます！わ〜っ！とっても嬉しい誉め言葉です(*^▽^*)是非今後もよろしくお願いします！ (2019年12月20日 19時) (レス) id: ab99525799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜月花 | 作成日時：2019年9月26日 21時
