甘い甘い ページ38
そういって軽く視線を外す彼。そうかそうか、嬉しいなぁ…。
「じゃあそんな祥彰にいいこと教えてあげる。
これ、なーんだ。」
「…！え！」
私が取り出したのは小さなのかわいらしい紙袋。
彼の為だけに用意した、大切なチョコレート。
「生チョコ。後でゆっくり食べてもらおうと思って、タイミング見計らってたのになぁ…。」
「あ…そういうことかぁ〜〜！！なんだ僕、てっきりもらえないのかと思って…。」
「そんなわけないじゃない！！全く、せっかちなんだから…。」
「う…ごめんなさい。これ、今食べてもいい？」
もちろん、と言ってうなずく。嬉しそうに包装を解いて、箱を開け、きらきらとした目でチョコレートを見る彼。ふふっ、嬉しそう。ちゃんとした見た目にはならなかったけど、味が食べてみたら悪くなかったので大丈夫なはず。
「じゃあ、いただきます。はむっ。…
ん！美味しい！」
「あ、本当？よかった〜〜。」
「うん、適度に甘く、口の中でとろ〜っと溶けて…めっちゃおいしい！」
よかった、やっと安心できた。ほっと胸を撫でおろすと、廊下の奥から伊沢さんの声が聞こえてきた。
「あれ？沙也ちゃんと山本がいねえな。あの二人どこいった？」
そろそろ行かないと、そう思った、その時のことだった。
「あ、そろそろ行かなきゃ。
ほら、祥彰、いこ…」
その先の言葉は言えなかった。口が塞がっていた。甘い香りがした。
わからない。今何が起きているのか、まったくわからない。
ただ彼の顔が目の前にあって、口の中には昨日食べたチョコの味がしていて。
「…ふ…ふぁ…？」
「ん…。
一番のチョコレート、いただきました。ごちそうさま。」
にやりと微笑んだ彼。廊下の奥に消えていく彼。
思考がフリーズした私。廊下に取り残された私。
「…それはずるいって…。」
思わずその場にへたり込む。
チョコってこんなに甘かったっけ。
そうだ、最初に言ったこと。あれは前言撤回させてもらおう。
バレンタインも、案外悪くない一日だ。
ラッキーQuizKnock＆東大王メンバー
岡本沙紀さん
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ｶｰﾝﾚﾝ - 祥くん…尊い…。ホントに好きです、このお話！ (2020年9月29日 22時) (
レス) id: b11d0cfa2b (このIDを非表示/違反報告)
ほしみ(プロフ) - 桜月花さん» (´∀｀*)ｳﾌﾌ これからもどうぞよろしく… (2020年3月3日 19時) (レス) id: d485cad35d (このIDを非表示/違反報告)
桜月花(プロフ) - ほしみさん» ひゃああ〜〜〜！！ありがとう！！！私もほしみちゃんの話好きよ…！ (2020年3月3日 19時) (レス) id: 8714acda80 (このIDを非表示/違反報告)
ほしみ(プロフ) - 最高です。 (2020年3月2日 23時) (レス) id: 5d963df972 (このIDを非表示/違反報告)
桜月花(プロフ) - ぽろろっかさん» コメントありがとうございます！わ〜っ！とっても嬉しい誉め言葉です(*^▽^*)是非今後もよろしくお願いします！ (2019年12月20日 19時) (レス) id: ab99525799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜月花 | 作成日時：2019年9月26日 21時
