コイノウタ弐 (ページ7)

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五月山こずゑをたかみ時鳥ページ7

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「気をつけてな」

『はい。ご馳走様でした』

リリーさんに1番可愛がって貰ってると自負する私だけど、私はリリーさんと今以上の関係になりたい。

『はぁ、』

電車に揺られながら毎度溜息が出る。

彼女作る気なさそうな(怖くて直接聞いたことない)リリーさんだから、身体だけでもいい、嘘でもいいからリリーさんに愛されたいと思うようになった私は重症だと思う。

女の子とホテル行った話は聞くのに(これも直接聞いたことはない)、私は遅くても終電1本前までにはしっかり駅に見送られて、その度に溜息ついてる。

私と、ホテルに行く女の子と何が違うの？
後輩は女として見れないですか？

「A、今日夜、」

『すみません、辻と約束してて』

東京へ移籍したと言えど週末は劇場で顔を合わせる。

最近は誘われる度に辻の名前を出して、これ以上リリーさんの事を好きにならないように距離をとる。

リリーさんと私のやり取りを見ていたのに気づいて、辻の横に腰を据える。私の気持ちを唯一知る同期。

「おま、、、はぁ」

突然ふわッと辻の香りに包まれて視界が暗くなった。

『な、何？』

「あほ、泣くなら断んな」

耳元で辻にそう言われて、さっきまで辻が着てたジャケット越しに頭に手を置かれた。

もう自分では制御出来ないくらいリリーさんへの気持ちが大きくなってる...自分から距離を取ってるのに

あぁ...ダメだ、涙とまらん

辻の優しさに甘えてばかりの最近で、辻もうんざりしてるはず。

「ティッシュ。拭き」

中にティッシュが数枚入ってきて、必死に涙を止めて口角を上げ、ジャケットをとる。

『ありがと』

「ええ加減にせぇよ」

口調は強いものの、私を見る目は優しくて頭をぽんぽんされる。

「今日はうまいもん食お」

『うん』

ニカっと笑って立ち上がった辻は後輩の元へ行った。

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