コイノウタ (ページ4)

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こひぞつもりて淵となりぬるページ4

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「ごめんな、この前」

「電話くれたから寂しくなかったよ？」

最近東京と大阪に限らずあちこちを行き来する将企くんと、なかなか予定が合わず1ヶ月ぶりに会えた。

寂しくないは嘘。困らせたくないし…わがまま言って嫌われたくもない。

「付き合って欲しい」

将企くんに告白された時、断るつもりだった。

私達はいわゆる身体だけの関係で…それが彼女に昇格したところで、幸せになれるハズがない。私以外の女の子と遊んでるのだって知ってた。

「急にどうしたの？お酒飲みすぎた？」

「Aちゃんと付き合いたいんよ。順番が違ってしまったのは申し訳ないけど、本気やから」

連絡先に女の子おらんからってスマホを見せられた。

「えっ？」

「俺の気持ち、少しは伝わった？」

いつもの、へらぁっとした表情は一切なく初めて見る真剣な表情。

「お、願いします…」

「良かった」

いざとなったら別れればいっか。断りにくい雰囲気に流されてとりあえずOKをした。

こんなんだから身体だけの関係とか一晩だけ…なんてことになるんだよ、と過去のことを思い返す。

そんな風にはじまった私と将企くんだから、すぐに飽きられて終わるだろうと思っていたし、私の気持ちも変わらないと思っていた。

「あ、あの…」

「んー？」

「腰にあたってますけど…」

「久しぶりに会ったらムラっときた」

けれど、順調に続いて

「はぁ、ん、ぁ…だめっ」

「…くっ、A、」

断らなくて良かったと心の底から思う程、愛されてると実感する。

だから、今嫌われて捨てられたら…私はこの先将企くんなしでは生きていけないかも知れないと怖くなった

「仕事が押しとって…ごめんな」

「大丈夫だよ？頑張ってね」

会いたいのに、大丈夫じゃないのに、嫌われないように平気なふりをする。

「…将企くん？」

「A、なんで嘘つくん？」

泣きながらひとりで入った布団に、将企くんがいて抱きしめられてる。

「泣いたやろ」

「…泣いてない」

「思った事言っていいんよ？Aは俺の彼女やで？我儘言って欲しい。聞き分けよすぎて寂しいよ、俺」

そんな風に思っているなんて知らなかった…

「…嫌いにならない？」

「こんなに好きやのに、伝わっとらん？」

「んん…会いたかった、寂しかった、」

「うん、俺も会いたかったから来てもうた。起こしてごめんな」

こんなに将企くんを深く深く愛してしまうなんて。

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