聞こえる男【JM】２

受け止める ページ10

『ごめんね、暗い感じになっちゃって。

　全然大丈夫なんだよ』





そう笑うAさんは

とてもしっかりしていて



俺の方がなんて言っていいかわからず

狼狽えてしまっている。





JM「ごめん‥ちょっと なんて言っていいか‥」










『まぁ、昔のことなんだけどさ。

　普通にお別れして終わった恋愛じゃなかったから、

　ちょっと特別残ってる部分はあってさ』




JM「そりゃそうだよ。無理して忘れなくて‥いいよ」




『でもね、ジミンくんのこと好きになって

　毎日が幸せなの。』





今日もAさんは、まっすぐに向き合ってくる。





『人を好きになるっていいなぁって。

　好きでいてくれる人がいるのも、すごく幸せなんだって』



『だから、今のこの気持ちは大事にしたいの』



『ちゃんと好きって言えるって、奇跡だと思うから』




そうか


なんかすごく腑に落ちた。







いつもまっすぐに好きだと言ってくれる理由が。






『言えるその時に、伝えなきゃと思うんだ』




気持ちは伝えなきゃと言うのはそういう過去があったんだ。





『だから、ジミンくんが好きって気持ちを伝えたいの』




『今日も大好きだし、一緒にいられて幸せなの』






JM「俺も Aさんといられてすごく毎日幸せだよ」




『ごめんね、気にさせちゃって。

　でももう、昔のことだし、全然大丈夫だからね』






JM「うん でも、無理しないで。辛かったら言って」




『‥ありがとう』
　



思ってたよりもずっと大きくて深刻な過去に

複雑な気持ちではあるけど


そういう経験をしてきた Aさんだからこそ

こんなにまっすぐで こんなに愛に溢れてる気がする。






俺の変な能力も受け止めて、向き合ってくれた人だから

俺も全部ひっくるめて受け止めなきゃと思う。



JM「ありがとう話してくれて」



『隠し事になると嫌だしね』




JM「ごめんね 俺こそ 寝言で‥」









そうだ


俺は寝言じゃなくて


心の声をあの時聞いてしまったんだ。






また 人の心に勝手に踏み込んで、


触れられたくなかったかもしれない過去を


無理やり話させたのかもしれない。








俺がしたことは‥人としてアウト


なのかもしれないな。






聞いてしまった以上、全力でAさんを支えよう




それは心に誓った。

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