陽だまりの先生【NJ】

気づき ページ34

NJside----





何故だろうか。



本の中身が全く頭に入ってこない。



これは、隣にいるAさんのせいなのは確かだ。






なぜ、ひっついてるんだろう。




寒いからか。

そう言ったからそうなんだろう。




寒いから？


寒いとこうしてひっつくのは普通のことなのか？


若い年頃の女性が、寒いからといって男にひっつくとは。


恋人でない相手に。


俺が生きてきた常識の中では、ないと思うんだけど。







でも俺はよく変わってると言われるし、俺の常識なんて非常識なのかもしれない。




女性は寒がりというし。




特別なことではないのかもしれない。








意識しすぎてはいけない、と平静を装っているものの、

さっきから本の中身が全く入ってきていない。





全身の意識が左腕に集中してしまっている。




本を閉じて、カバンにしまった。





NJ「寒いの？」



『‥‥少し』





俺の腕を掴んでいる小さな手を、そっと上から握ってみた。



NJ「ほんとだ。冷たい。」






本なんて冷静に読めなさそうだったから、
ぴったりとひっついたまま、別の話をした。




NJ「紅葉狩りって、何で狩るというのか知ってる？」


『知りません。何でかなって思ってました。』





相変わらず、俺はこんな話をしてしまう。





黙っていたら、変な気を起こしてしまいそうな自分が少し怖い。



変なことを口走ってしまいそうだし。





何でひっつくんだ？


俺のこと男として意識してないのか？


触れるのは平気なのか？


俺が、女性として意識してるとわかってる？


この手を引っ張って、抱きしめたいと思ってるってわかる？






ああ 触れたいと思ってるよ。





恋愛の好意を抱いてる。





ジン先生、俺みたいな馬鹿でもわかったよ。

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