イベリス【ymin】 (ページ38)

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ベッドに辿り着く前に膝からくずおれた伊野尾くんを受け止めた。

見た目通り軽くて驚く。

そこまで身長は変わらなさそうだけれど、軽い体重に白い肌も相まって酷く弱々しく見えた。

先日サボっているときに声をかけ、顔見知りになった学校の人気者。

はじめは興味本位で話しかけた。

綺麗な顔にテストでは毎回上位という肩書きで、学年問わず尊敬の眼差しを浴びているくせに、浮ついた話も上がってこない。

裏ではどんな顔を持っているのかと興味が湧いて、そんな高嶺の花を踏み荒らしてやろうと思った。

いざ話してみたら、ぽわぽわしているのんびり屋。

意外と話しやすくて、毒気が抜かれてしまった。

倒れた伊野尾くんを抱え、ベッドに寝かす。

まるで眠り姫みたいだ。

しんどそうに歪められた綺麗な顔を眺めていると、留守番ありがとう、と保健の先生が帰ってきた。

「…せんせー、おかえり。伊野尾くん体調不良みたいだから寝かせてるー。」

「あら、そうなの。あとは見ておくね。」

お大事に。

そう伊野尾くんに呟いて保健室を後にした。

そういえば、彼には双子の兄がいたはずだ。

確か有岡くん、だっけ。

2Aの担任には保健の先生が伝えてくれるだろうが、一応有岡くんにも伝えておこうか。

何となく伊野尾くんのことが心配で、お節介をやきたくなった。