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電話の主は大ちゃん。

たかぎとの話に気を取られていたため、昼休みということを忘れていた。



「ごめんたかぎ。俺ご飯たべなきゃだから。」


「うん、またね。」



たかぎと白米を背に、屋上へと向かって歩いていく。


たかぎはよくあそこでサボっていると言っていた。

俺に対して普通に接してくれる人は貴重だ。

大体の人は顔を真っ赤にして会話にならない。


また会いに行こうか。

白米もいるしね。


新しいサボり場所はあそこに決めた、と不真面目なことを考えながら、屋上へ続く扉を開いた。





屋上へ出るともうみんな揃っていた。



「ちゃん!もー、どこ行ってたの!!」


「どうせまたサボってたんだろ。」


「さすが薮、よくわかってるう!」



せいかーいと手で丸を作ってやると大ちゃん、薮、光の三人は呆れ顔だ。



「へ?伊野尾ちゃんさぼってたの?」


「いのちゃん、成績いいからってたまに授業出ない時あんの。」



驚き顔の山田の質問に光が答える。



「そういえば、さっき話してたんだけど、明日祝日で学校休みだし、どっか遊びに行かない?ちゃん、バイトないでしょ?」



明日は特に用事はなかったはず。

大ちゃんたちは割と他人を受け付けない感じがある。

俺が言うのもなんだけど。

それぞれ仲のいい友達はいても俺が色々あったせいもあり、グループに入れようとはしない。

そんな大ちゃんたちが山田と一緒に遊ぼうと計画するということは、それなりに山田のことを認めているんだろう。



「なんもないよ。なにすんの?」


「山田がまだこの辺に慣れてないから買い物でもしつつ案内しようかと。俺も新しいスパイク買いたいし。」


「りょ。詳細決まったらLINEで送って。」



大勢で遊ぶのはいつぶりだろうか。

基本的に部活がない時は大ちゃんと買い物をすることが多く、新鮮味がないのだ。

聞くところによると朝、あの後山田は朝練見学の際に声をかけられ、サッカー部の練習に少し混じったらしい。

クラブ上がりの実力は部の即戦力だと薮も気に入ったみたいだ。



明日か。

楽しみだなと柄にもなく思いながら、昼食を食べ進めた。

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作者名:しい | 作者ホームページ:https://twitter.com/@bshii_1122  
作成日時:2021年4月16日 1時

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