VS.研究開発部【妄想営業部】 (ページ10)

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「えっ、はい」

駒田さんが話しかけてきたことに緊張して、勢いで返事をしてしまった。すぐに後悔する。一体、何を頼まれるのか。

動揺する私に、駒田さんはデスクの上にあった茶封筒を取って、差し出した。

「これを、人事部に届けて欲しい」

私は茶封筒を受け取った。

伊東さんに頼まれてついさっき駒田さんに渡したものと、見た目は全く同じだ。しかし、この茶封筒の表面には、黒マーカーで大きく「却下」と走り書きがされていた。

「これは...？」

「昨日、人事部の八代タクが、領収書を提出してきたんだよ。しかし新歓だか何だか知らんが、こんないい加減な書類で飲み会代を経費で落とせるわけないだろう。突き返しておいてくれ」

「は、はい。分かりました」

「じゃあ、頼んだからな。ユウキ、行くぞ」

「はい！」

そうして、駒田さんは見るからに戦闘態勢といった雰囲気で、その後ろを榊原さんがついて行くようにして、二人は経理部オフィスから出ていってしまった。

私はオフィスに1人取り残された後でやっと、伊東さんと西山さんも先ほど研究開発部に向かったと、駒田さんに伝えそびれていることに気がついた。