VS.研究開発部【妄想営業部】 (ページ30)

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再･研究開発部 1 ページ30

翌日。

研究開発部に行くと、オフィスは随分と様変わりしていた。

中央にあるテーブルの上に、試作品と誓約書、回収ボックスが置いてあり、リストにチェックを入れれば自由に社員が出入りできるようになっている。

簡易的ではあるが、人通りが増えたことで心なしか居心地が良くなっている感覚がした。神尾さんにとっては、むしろ逆なのかもしれないが。

「あ、Aちゃん！」

オフィスに入るとすぐに、デスクで作業をしていた仲村さんが声をかけてくれた。

仲村さんはすぐに私の表情に気づき、「どうしたの？」と首をかしげた。

「あ、いえ。モルちゃん、って呼ばないんですね」

そう言うと、仲村さんはえへへ、と笑った。

「怒られちゃったからね。ごめんね、嫌だったでしょ」

「いえ、大丈夫ですよ」

嫌悪というよりは、むしろ単純に恐怖だったなぁ、と思い返した。

「ま、入って入って！博士が待ってるよ」

仲村さんに誘われて、私は研究室の中に足を踏み入れた。

勝手なイメージで物で溢れかえっていると思っていた研究室は、入ってみると意外と整頓されていた。
神尾さんの性格なのかな、と思った。

仲村さんは...失礼だけど、整頓は苦手そうな気がする。

一際目立つのは、テーブル、というかいかにも研究室らしい実験台のようなものの上に綺麗に並べられた、おそらく試作品の数々だ。

製品が並ぶ向こうで、まるで販売員のように神尾さんが立っていた。

準備万端、といった感じだ。

神尾さんが私を見て微笑み、「ようこそ」と言った。

「よろしくお願いします。研究開発部の業務について、いろいろと教えてください」

私は神尾さんと、それから仲村さんにそれぞれ頭を下げた。

「こちらこそだ。試作品の被験も頼んでいいということだったが、大丈夫か？」

私は頷いた。

業務中の貴重な時間を割いてもらえることになったので、お礼にと、できる範囲で被験に協力することにしていた。

しかし、神尾さんが確認を取ってくれたことに驚いた。無理やり研究室に連れ込まれそうになった前回とは大違いだ。

「はい。お手柔らかにお願いします」

「疲れたら言ってくれ、すぐに休憩を取る。その時にでも我々の業務について話そう」

おや、と思った。何か引っかかる言い方だ。