VS.研究開発部【妄想営業部】 (ページ29)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:9,986 hit

4 ページ29

「あの日、お二人が助けてくれましたから。私はモルモットじゃない、って言ってくれて、本当に嬉しかったんです。ありがとうございました」

私は西山さんと伊東さんに頭を下げた。

「だから、大丈夫じゃないかと思うんです。大丈夫じゃなかったら、逃げて帰ってきます」

インターンも残り少ない。このまま、神尾さんと仲村さんに顔を合わせずにいなくなるのも、何か違うと思った。

「うん、分かった。頑張っておいで」

伊東さんがそう言って、ポン、と私の頭に優しく手を置いた。大きな手はじんわりと温かかった。

「はい」

伊東さんの横で、西山さんも優しく笑ってくれた。

「まあ、シンイチロー・神尾もあの一件で少しは丸くなってくれてると思うし。きっと大丈夫だよ。経理部と人事部の件もあるしね」

結局、あの日私たちに続くようにして、経理部と人事部の4人もすぐに研究開発部オフィスから出ていってしまった。

そのため、あの場では問題解決こそ全くされていなかった。

しかし研究開発部はその後、経理部に経費の使用用途を細かく明記したリストを送ったらしい。使うお金の量は全く変わっていないので厳密には解決していないし駒田さんはまだ納得していないそうだが、以前に比べて格段に経費が透明化した。

おまけに、来月に研究開発部がインターン生を1人受け入れるらしい。

昨日、八代さんがハイテンションで知らせてくれた。

「みなさんのおかげです。ありがとうございます！」

八代さんは随分嬉しそうで、クッキーまで差し入れしてくれた。

西山さんの言った通り、神尾さんも少しずつ変化しているようだった。