VS.研究開発部【妄想営業部】 (ページ25)

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「え、部長、しかし」

「いいから。帰るよ。話は後でちゃんと聞くから」

突然のことに動揺する伊東さん西山さんを、部長はにこやかに諭した。
口調こそ優しげなものの、有無を言わせない強さがある。

その部長が私に目を向けた。

「君も、研究開発部に来たいなら僕に言ってね。時間を取ってあげるくらいは出来るからさ」

「は、はい」

私の返事を聞いた部長は「うん」と満足そうに頷き、パン、と一回だけ手を叩いた。

「じゃあ、ひとまず解散。みんな帰ろう。君たちも、あまり長居したら迷惑になっちゃうからね」

経理部人事部組にも声をかけ、部長は神尾さんに「それじゃ」と頭を下げた。

「どうも、失礼しました。まぁ、同じ会社の仲間ですから、今後とも仲良くしていきましょう」

ニッコリと神尾さんに微笑み、部長はさっさとオフィスから出ていってしまった。

「あ、部長、ちょっと」

伊東さん、西山さん、そして私の3人は、慌てて部長の後を追って、研究開発部のオフィスから退散した。

去り際に振り返ると、神尾さんと目が合った。

神尾さんがふっと私に笑って、「また来るといい」と言った。

私は黙って頭を下げた。