VS.研究開発部【妄想営業部】 (ページ15)

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研究開発部 1 ページ15

伊東ケントと西山コータローは、研究開発部オフィスのドアを三回ノックしてみた。

しかし、返事はない。ドアノブを回してみると鍵はかかっていなかった。二人は顔を見合わせてから、ゆっくりとドアを開けてみた。

見渡す限りでは、オフィスに人の気配は無かった。

「誰かいらっしゃいますかー？」

無人の空間に、伊東ケントが何度か呼びかけると、オフィス奥の研究室につながるドアが開いた。

「誰だ？」

開いたドアの向こうから、白衣に身を包んだシンイチロー神尾が現れた。

気だるげな低い声に二人は一瞬気圧され、しかしすぐに態勢を立て直した。

「突然押しかけてすみません。妄想営業部の伊東ケントと申します」

「同じく、西山コータローです」

「...ああ、君たちか。何の用だ？試作品のレポートでも持ってきてくれたのか？」

「あ、いえ、それはまだ...」と西山コータローが答えた。

「なら早くしてくれ。ゆっくり待っている暇はないんでね」

シンイチロー・神尾はそう言って、用は済んだと言わんばかりに白衣を翻して研究室へ戻ろうとした。

その後ろ姿に、西山コータローが呼びかけた。

「今日は、その試作品についてご相談があってやって来ました。」

シンイチロー・神尾が足を止め、振り返った。

そのまま、値踏みするように伊東ケントと西山コータローの顔を順番に見つめてから、

「ほう」と言って近くのテーブルの上に寄りかかるように座った。

両腕を組む姿は、なかなかに見る者を圧倒する怖さがある。

「で、相談とは？」

こういった、良く言えばクールな、悪く言えば冷徹な振る舞いをする人は、営業先の顧客にもたまにいる。恐れることはない、冷静に。

自分に言い聞かせてから、伊東ケントは口を開いた。