VS.研究開発部【妄想営業部】 (ページ11)

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人事部1 ページ11

この一週間、経理部には伊東さんや西山さんに連れられて何度か訪れたことがある。
しかし、人事部に行くのはインターン初日以来、初めてだった。

今日はなんだか各部署をたらい回しにされている気もするが、インターン生の扱いなんて所詮こんなものなのだろう。

小さくため息をついてから、人事部のオフィスにお邪魔した。

「失礼します」

オフィスに入るなり、窓際のデスクに座る八代さんと目が合った。

「わぁ、久しぶり～！」

八代さんはパアッと目を輝かせて、私に駆け寄ってきた。笑顔が眩しい。

「お疲れ様です」

「インターンの子だよね。初日に挨拶に来てくれて以来かな？」

「はい。私のこと覚えてて下さったんですね」

「当たり前じゃ～ん。ずっと会いたかったんだもん。こんなにかわいい子、忘れないよ。ね、ハルキ」

八代さんが後ろを向き、こちらを見ていた石谷ハルキさんに話しかけた。

突然話を振られた石谷さんは動じることもなく、「ええ、もちろんです」と私に笑った。こっちも笑顔が眩しい。

私はまたしても、はにかんで誤魔化した。この会社は返事に困る人が多い。

「それで、どうしたの？遊びに来てくれたなら歓迎するよ？」

「あ、いえ。駒田さんから預かっているものがありまして」

そう言うと、八代さんは首をかしげた。

「駒田さん、って、経理部の駒田ワタル？君は、確か妄想営業部に配属されているんじゃなかったっけ？」

「そうなんですけど、いろいろありまして」

いろいろ、とまではいかないか。
そんなことを思いつつ、私は却下茶封筒を八代さんに渡した。

「先日の飲み会の領収書、八代さんに突き返しておいて欲しいと頼まれました」

「ああ、あれかぁ」

八代さんは余裕の笑みで、封筒の中身を確認している。

「もしかしたら経費で落ちたりしないかなぁ、と思って試しに提出してみたんだ。やっぱりダメだったかあ」

インターンが始まって一週間になるが、今初めて駒田さんに同情した。経理部も大変そうだ。