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初恋#11 ページ18

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誰も居なくなった教室で、ひとり。
卒業式は泣けなかった。




「…おつかれさま、」

「まじ疲れた」




高校生活最後の日。
襲いかかる第2ボタン下さい攻撃をかわし、
最後の荷物を取りに教室に戻ってきたのは
相変わらず飄々としてる祐希。




「結局誰にもあげなかったんだ?」

「うん。近所に星城行く子がいるから制服あげる」




相変わらず身も蓋もないというか、
こんだけキャーキャー言われてんのに
クールすぎるんだよなぁ祐希って。




「ふーん、」

「Aも欲しかった?俺のボタン」




私が座ってる席の机に座って、
ヘラヘラとからかってくる祐希。
いつもだったら、
頼まれたっていらないって言うところだけど。



「うん」

「へ?」




きっと予想外だった返事に、
少し面食らってる祐希。




「欲しかった、私も。祐希の第2ボタン」




ずっとずっと、ずーっと好きだった。
春高で大活躍する前から、
ひと目見た時から、
周りの子なんかに負けないくらい
祐希のことが好きだった。




「……俺、彼女いるの知ってんじゃん」

「そんなの知ってるけど、欲しかった。」




3年間、仲良しでいるのもツラかった。
彼女の話されるのも、キツかった。
今日だって最後に会いたくて、
でも呼び出したりなんかできなくて、
来るかもわからないのに馬鹿みたいに
祐希のことずっと待ってた。





「……泣いてるし」

「泣いてないし」



話せるだけで、
姿が見れるだけで
幸せだと思ってたけど。





「…………、」

「ごめん、ほっといて。帰っていいよ、」




声が震えて、恥ずかしかった。
ずっと我慢してた気持ちが
堰を切ったように溢れて止まらない。




「らしくなさすぎ」

「……うん、ごめん」




きっと困ってる祐希に。
大好きって伝えたかったのに、
うまく伝えられないのが悔しくて。




「……こんなんが欲しいの、」




下を向いて涙を拭いてたら、
目の前に差し出されたもの。




「……誰かに、あげるんじゃないの?」

「まぁ、怒られるかもね」




見上げれば、
いつもと変わらない調子でそう言うから
我慢してた涙が、また。









「……っ好き、私、」


「うん」


「祐希のこと、大好きだったの」


「…うん、」









2人だけの教室には
オレンジ色の夕日が差し込んで、
大好きなその大きな手は
私の頭をぎこちなく撫でた。








15才の春から、
18才の冬の終わり。
誰よりも、
あなたのことが好きでした。






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きっと一生好きな人。#8→←彼はみんなに愛されている#11



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まな - いつもお話楽しみに読ませて頂いています!初恋の続編的なのを出来たら読みたいです!これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2022年11月22日 17時) (レス) id: fb95b59a3c (このIDを非表示/違反報告)
mi mi mi - 星野将希さん» 一作目から見てくださっているのですね。とても嬉しいです。先生シリーズもまた更新しますね。ありがとうございます^_^! (2018年2月2日 1時) (レス) id: 8be4045229 (このIDを非表示/違反報告)
星野将希(プロフ) - はじめまして、シリーズ一作目から読ませて頂いています。mi mi miさんの文体がすごく好きです。特に先生シリーズ?(1487:生徒、夢主:先生)がお気に入りです!これからも更新頑張ってください。応援してます! (2018年1月31日 12時) (携帯から) (レス) id: 2e2dbe8a41 (このIDを非表示/違反報告)
mi mi mi - 南さん» そう言っていただけるととってもとっても励みになります。これからもよろしくお願いします(*^_^*) (2018年1月16日 4時) (レス) id: 8be4045229 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - mi mi mi大好きです! (2018年1月13日 20時) (レス) id: 20552de2df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mi mi mi | 作成日時:2017年10月12日 23時

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