窮鼠噛狸【続】4 (ページ34)

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目が覚めると、見た事のある部屋にいた。

十数年ここで過ごしてたから見た事のあるというより

よく知る部屋、やな。

久々にこんなでかいふわふわの布団で寝たわ…

大「こうやって考えたら、いい暮らししとってんなぁ。」

寮生活せーへんかったら困難も知らんと過ごしてたんやろうなぁ……

もちろん、ヤスのことも知らんまんま。

普通の部屋にしてはデカい扉を開けるとすぐそこに

大「…親父」

父「おはよぉさん。よォ寝とったな…？」

何となく目を逸らして下を向くと、あ、俺まだスカートのまんまやんけ。

あ、俺この格好のまま親父に会ってんの？

やっば。

ゆっくり顔を上げると「いい趣味だな」と苦笑いされる。

いや、そこはもういっその事大爆笑くらいしてくれてもええんやけど。

大「俺の趣味ちゃう。」

父「ショウタくん…の趣味か？」

その名前が出たことに一瞬驚く、え、こいつ知ってるん？

てか、どこまで知ってるん？

大「ヤスの趣味でもない。文化祭の衣装で着せられてるだけ」

まぁ、ヤスはスカート履くけどな。休日とかに。

父「ヤス……か。彼は友達か？」

大「…何が言いたいん。」

世間話するような仲ちゃうやろ、俺ら。

もう既に親子の縁切れてもええくらい、俺は親父に強く当たってきたのに、

なんでそんなに、今は優しい顔してんの。

親父だって、

俺のこと殴ったりもしたやん。

なんで今はそんなに、

ヤスと同じ目をしてんの？

…