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朝。
いつもは感じない暑苦しさに目が覚めた。
(「なに………」)
薄ら目を開けると目の前は真っ暗。
(「ん……?」)
重たい瞼を開くとだんだん頭が冴えてくる。
恐る恐る顔を上げれば数cmの距離に端正な顔立ちをした男。
────────────── 剛典さん、
「はわあっ………………!!!!!」
急いで安全な距離を保とうとしたけれど動かない。
………動かない?
「えっ、…………………!?!?」
腰に腕、絡みつく明らかな他人の足。
(「待って…!?」)
なんで!?
.
.
.
剛典『ん…………』
「たかのりさん…っ、」
剛典『ふわぁ〜〜おはよう、どうしたの?』
「どうしたの、じゃなくて…!!」
目で訴えれば伝わらなかったのか " ん? " と小首を傾げる。
「腕……と、足!!!」
剛典『…………………あっ!!!!!』
ばっと離れた彼は心做しか顔が赤い。
剛典『ご、ごめん!俺寝相悪くて……!』
「あ…いや、その……」
剛典『普段抱き枕あるから勘違いしたのかも…ほんっとごめん!!』
(「抱き枕…」)
不覚にもかわいいと思ってしまった。
にしてもあの剛典さんでも照れることってあるんだ。
剛典『…え?なんでちょっと笑ってんの?』
「うそ?!顔に出てました?!」
剛典『何考えてたんだよ〜!!』
「なんも無いです、ってこっちこないで!」
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剛典『あ、そういえば今日仕事昼からだから』
「それをなぜ私に言うんですか」
剛典『てか思ったけどLINE交換してないよね』
「質問に答えてくれない…」
剛典『はいこれ俺のIDね』
めちゃくちゃ勝手に進める剛典さん。
意外と自由人らしい。
数少ない友達の中に新しく加わる " 剛典 " の文字。
その文字を見ただけで胸が高鳴ったのはきっと気の所為。
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作者名:かの | 作成日時:2020年10月6日 21時