会話の関係 ページ26
Aside
·
新婚旅行の真実を知り驚きつつ、私は夕食をテーブルに並べる。
ちょうど沖田さんは着替えを終え、リビングに戻ってきた。
「京都いったことありやす?」
『一応あるんですけど、ほとんど観光してなくて。沖田さんは?』
「俺も同じようなもんですねィ。観光地とかあんまり分かんねェ」
やっぱり、わりと前向きなのだろうか。また頬が緩みそうになるのをこらえる。
料理を並べ終わり、沖田さんと席に着いた。
『いただきます』
「いただきます」
ちなみに今日の夕食は肉じゃがだ。だんだん料理も板に付いてきたと思う。沖田さんは毎日残さず「うまい」と言って食べてくれる。食にこだわりがないだけなのかもしれないが、やっぱりその発言は嬉しい。
沖田さんを好きだと気づいてから、やけに沖田さんの言動に一喜一憂することが増えた。…なんというか、反応をうかがってしまう。そんな時、笑い顔を見せられると、胸がいっぱいになって痛む。これが【胸キュン】かと衝撃を受けたのも一度や二度ではない。
「Aさん?」
目の焦点があっていなかったのか、沖田さんに瞳を覗き込まれた。あわてて視線を彼へと戻す。彼の赤い瞳に、自分の姿が映り込んでいた。
「生きてますかィ」
『生きてますよ』
「Aさん、たまにあさっての方向見てるんで」
あさっての方向?
そんなあからさまにぼーっとしていたのか。ちょっとショック。
『全然意識してなかった。あさっての方向なんて…』
というかそもそも、あさっての方向ってどの方角だろう。
沖田さんはくすりと笑いを零す。
…満面の笑みもいいけど、こういうドライな笑いもいいな、なんて思考が浮かんで、慌てて消去しようとぶんぶん頭を振った。
「ヘドバンですかィ」
『いえ、んー、き、昨日の方向を見てました』
「意味わかんねー」
沖田さんは今度は声に出して笑う。なんだが恥ずかしくなってじゃがいもを口の中いっぱいに運び込んだ。
『ところで、し、真選組って、万事屋と仲いいんですか』
誤魔化し半分、本音半分で尋ねる。よくスーパーの道で遭遇するのだが、いつも沖田さんや土方さんなど、真選組の話になるのだ。坂田さん、口では何かと言いつつも何気に沖田さん達のことをよく見ている。
「そういうわけでは、ないかねィ。どちらかといや、悪友?」
…仲良しなのかそうでないのかわからない。
沖田さんと楽しい夕食タイムをとりながら、やっぱり私は彼が好きだと自覚させられてしまうのである。
106人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます!嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです!無理矢理原作に沿っていなくて,とても読みやすいです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年8月25日 22時