繋いだ関係 ページ18
Aside
·
感謝すればいいのか、どうなのか。曖昧な笑みを返すと、二人はすすすと去っていった。
「変なところでお節介しやがって…」
言葉の割には、沖田さんは穏やかに笑っている。
…私といるのは、嫌じゃない、ということ?
それなら、凄く嬉しいことだけど。思わず頬が緩んだので、慌ててかき氷を食べて誤魔化した。
『ど、どうしましょうか。きっとこれ、二人きりで花火見ろってことですよね』
「…ですね」
沖田さんは一瞬遠くに目をやったあと、私の手を握った。
例の、握手。
『え?』
「あっちで土方とチャイナ達が合流してるんで、みられてもいいように」
早口で私の耳元に囁く。そういうことか。
私は納得して頷いた。ふわりと近づいた沖田さんの体温と匂いには蓋をしてわからなかった振りをする。
『じゃあ、どこに行きますか?』
「この辺空いてるんで、花火が見られる近くの場所がいいですよねィ」
別に沖田さんが花火にこだわる必要はないのに、と考えて、思い当たった。
__もしかして、私が初めてのお祭りだからだろうか。
この後、私は、お妙さんと神楽ちゃんと、花火を見る予定だった。二人と別れた今も、私が花火を見られるようにしてくれた、なんて、都合のいい勘違いかもしれないけど。
けど。
じんわりと体の奥が温まって、顔に熱が集まった気がした。かき氷で冷やそうとスプーンを突っ込んだが、いつのまにか空になっている。結構な勢いで食べてしまっていたようだ。
『あそこのベンチとか、どうでしょう』
屋台が途切れた一角、ここなら空も見える。指させば、沖田さんは「そこにしやしょう」と答えて歩く。
相変わらず沖田さんの手はひんやりしていて硬い。おそらく剣だこ、と呼ばれるものなんだろう。それがたまに自分の指にあたる。
『…ふう』
二人でベンチに腰を下ろした。
繋いでいた手を離す。
なんとなく、沖田さんと繋がっていた方の手を眺めてみた。
「どうかしやした?」
不審に思われたのか、沖田さんが私の手を覗き込んできた。
『いえ、その、沖田さんの手、大きいなと思って』
…いきなりまた変なことをいってしまったかもしれない。
沖田さんはぱちくりと目を瞬かせたあと、私の手の横に自分の手を持ってきた。
「ほんとだ、結構大きさ違ぇや」
Aさんの手、指長くてほっそいし、なんかすぐ壊れちゃいそ、と沖田さんは言った。
「Aさん、綺麗な手してやすよね」
__一瞬、息が止まってしまった。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます!嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです!無理矢理原作に沿っていなくて,とても読みやすいです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年8月25日 22時