いちごの関係 ページ17
Aside
·
ですよね土方さん。でも本当にこのふたり楽しんでただけなんですよ…
『ほんと、すみません』
「ちょっとはしゃぎすぎちゃったかしら」
土方さんはため息をついた。こんなこと前代未聞なんじゃないだろうか。
『あ、でも、この後はかき氷の屋台に行くんで。もう花火だし…』
ちらりと腕時計を見れば、花火の打ち上げまで残り時間は少なかった。神楽ちゃんがパンと手を打つ。
「もうそんな時間アルか!」
「…頼むからもう店潰すなよ。特にチャイナ娘、ドカ食いはすんな」
そういえば、神楽ちゃんの食いっぷりもなかなかだったな。
「別にドカ食いじゃないヨ、平常運転アル」
「てめーの平常は平常じゃねえから!」
もう一度謝って土方さんと別れ、かき氷の屋台に向かう。
味は色々な種類があったので、一人一つ買って分け合うことにした。神楽ちゃんはメロン味、お妙さんはブルーハワイ味を買って列から離れていく。
『いちごひとつください』
「はいよ!」
氷にかけられた濃いピンクの液体。きらきらと反射で光っている。
かき氷を受け取り、私もお妙さん達と合流しようと一歩を踏み出した。
「…いちごひとつくだせェ」
聞き慣れた声に、どきっとして元いた場所を振り向けば。
『沖田さん』
「おお、Aさん」
沖田さんはいちごのかき氷を受け取ると、私の隣にやってきた。
『こんばんは。お疲れ様です』
「どーも。ま、今の時間帯は花火見る人が多いから暇なんですけどねィ」
確かに、人がかなり減っている。花火を見るため、ここより景色のいい所に移動したようだ。
「夏祭り、楽しめてやす?」
沖田さんはかき氷を一口食べて尋ねてきた。
私の話、覚えててくれたんだ。
『はい、すごい楽しいです!』
かくかくと頷くと、沖田さんは一瞬目を見開いてから笑った。
その笑い方に、また胸が締め付けられる。
…なんなんだろう、これ。
『屋台、潰しちゃってるんですけどね』
私は言い訳するようにかき氷を食べる。沖田さんは「あの二人と回ってればねィ」と苦笑した。
そこで、はたと気づく。
『あれ、お妙さんと神楽ちゃんは?』
さっきまでこの辺で私を待っていてくれたはずなのに、いつの間にか姿が消えている。
『はぐれたかな』
「…いや、わざとですねィ」
沖田さんが指さす方向を見れば、私に向けて親指を立てるお妙さんとちょっと不服そうな神楽ちゃんが屋台の影に立っていた。
…二人っきりの状況を、つくってくれたということらしい。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます!嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです!無理矢理原作に沿っていなくて,とても読みやすいです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年8月25日 22時