浴衣の関係 ページ14
Aside
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志村妙今神楽ちゃんと合流したわ。これから向かうわね
メッセージアプリの通知に、私は慌てて読んでいた漫画を片付けた。
評判のいい恋愛漫画、読まなかったジャンルなのにドハマリしてしまった。気づいたら全巻古本屋さんで買ってしまっていた始末である。
一応鏡の前に立って確かめる。
普段はあまり着ない浴衣と、アップにまとめた髪。
__今日は、夏祭りの日。
お妙さんと神楽ちゃんが二人でマンションの下に来て、一緒に会場に向かう予定だ。ここからの方が夏祭りの会場に近い。
沖田さんたち真選組は、昼間から仕事に駆り出されているそうで。会える可能性は低いだろう。
それはちょっと残念だけど、私の心はお祭りに沸き立っていた。初めてのお祭り。思わず鼻歌を歌う。
《分かってなかったことの理解なんて急にできないですよねー》
立花さんの言葉が脳裏に蘇る。
ハラハラするような恋愛漫画を読んでいても、やっぱりこれが恋なのかは分からなかった。なんだろう、胸が痛くなるとか、そういうことに共感はできるものの、四六時中一緒にいたいとか、くっついていたい、というわけではない。
沖田さんにハグやら壁ドンやらをされた時は、もっと奇妙な、なんとも言えない感情でいっぱいだったし。
…やっぱり難しすぎる。
下駄の鼻緒を結び、玄関のドアを開けて鍵を閉めた。エレベーターを待つ。
でも、分かったこともあって。
__私にとって沖田さんは、大切な人だということ。
向けている感情が、恋愛なのか、親愛なのか。
それは未だに不明だけど。とにかく、彼は私にとって大事な人なのだ。自信を持てる。
「おっ、A!」
「あら、浴衣姿、ステキよ」
ちょうどマンションのエントランスを出た時にお妙さんと神楽ちゃんはやってきた。ふたりも浴衣を着ている。
三人で連れ立ってお祭り会場へ歩く。道にはちらほら浴衣や甚平姿の人もいる。みんなお祭りに向かうんだろう。喧騒が近づくにつれ、私の心臓も高鳴っていった。自然と頬も緩む。
「ふぉー!屋台いっぱいネ!どこから回るアルか!?」
神楽ちゃんも同じようで、会場を指さす。
「まずは腹ごしらえもしたいし、食べものの屋台でも回ってみない?」
お妙さんもいつもよりさらにニコニコしながら答えた。
『ですね!うーん、楽しみ』
私たちの歩くスピードは自然と早くなり、すぐに会場に到着した。まずは近くにあったたこ焼き屋さんに並ぶ。
「いらっしゃいませぇー」
「あ、銀ちゃん」
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます。 (2019年10月25日 23時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - と〜っても面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月25日 19時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 麗桜さん» ありがとうございます!嬉しい限りです。マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年10月19日 18時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - とっても面白いです!無理矢理原作に沿っていなくて,とても読みやすいです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 16時) (レス) id: a174017b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年8月25日 22時