ツ ヅ キ 2 ページ28
Aside
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近藤と同じようなスーツを着ているはずなのになぜかおっさん感のない沖田が真顔で現れた。あんまり見た目に変化のない近藤に比べ、童顔が抜けて鋭さが増した沖田。大層モテそうだが、彼には学生時代から付き合っている彼女がいる。
『だね、あと神楽と十四郎も』
「そうそうAちゃん、カレとはどう?」
ようやく近藤を解放したお妙はにやにや顔を向けてきた。
『どうって、普通だよ』
「へえ、普通」
「普通、ねー」
同じような顔つきになる沖田と神楽。
…腹立つ。
私と土方十四郎は、高三の終わり頃から、いわゆる【恋仲】だった。そのまま付き合い続けて今日に至る。ちらりと斜め前に目をやれば、山崎と話している十四郎の姿が見つかった。本当は今日、一緒に行く約束をしていたのだが、私がうっかり寝坊してしまった。後で謝ろう。
髪型はV字前髪からセンター分けになっているし、かなりのヘビースモーカーになっている…ものの、ほぼ毎日連絡を取り、週末に会っているのであまり変化したようには思わない。
「結婚まで秒読みだろう?」
『なっ、ちょっと真顔で何言ってるの九ちゃん』
「いつか俺もお妙さんへの深い愛が」
「届く日は来ないに決まってるでしょ?」
まるで学生時代に戻ったのかのように騒ぎ出す私たち。神楽がボソリと呟いた。
「こんなんが警察で大丈夫なの?この国」
「お前が仕事で世界を駆け回ってるのもなかなか怖いがなァ」
近藤と沖田と山崎、それから十四郎は警察官として活動している。こんなに多くの元クラスメイトが警察になったと聞いた時はかなり驚いた。
「おーい、聞いてくれ。今から3年Z組の教室に移動するぞ」
桂の呼び掛けでぞろぞろと動き出す集団。いよいよ同窓会の雰囲気が増してきて、みんなの盛り上がりも最高潮だ。
「間に合って良かったな」
『十四郎。ごめんね、待ち合わせ間に合わなくて』
肩を叩かれ振り向くと、十四郎が立っていた。再びお妙たちからの視線を感じつつ謝罪する。
「気にするな。…校内って禁煙か?」
『当たり前でしょ』
残念そうにタバコとライターを胸ポケットにしまう十四郎。まさか吸おうとしてた?
のんびり歩いていくうち、色々なところを通り過ぎたいった。松平先生のスパルタ体育があった校庭。さっちゃんがよく待ち伏せしてた昇降口。ドーナツを買いに信女が入り浸ってた購買。源外先生が火事を起こしかけた理科室。坂本先生がすっ転んでいた階段。
昨日のようで、遠い記憶。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 氷華さん» ありがとうございます!嬉しい限りです! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 神威君ーーーーーーーーー! この小説いいね♪ (2019年12月25日 12時) (レス) id: e5c89771f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月27日 1時