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オ ウ セ《神威》 ページ11

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オ ウ セ
神威


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Aside
·

『…お待、たせ』

「…ん」

待ち合わせ時間ぴったりに着いたのに、もう神威はそこで待っていた。
スマホに落としていた視線を上げ、私と目を合わせる神威。
頑張って着付けた浴衣。ちょっと工夫した髪型。
いつも通りのラフな服装の彼は、私の格好を見て何か言うだろうか。
不安半分、期待半分で神威の顔を窺うも、特に変化はなく、「じゃ、行こ」と私に背を向けて歩き出した。
…嫌、がってはいないはず。
彼は負の感情に対しては顔に出やすい。不機嫌なわけでは、なさそう。
ああ、緊張する。まっすぐ歩く神威の大きな背中とぴょこんと出ているアホ毛が目に入った。

今日は年に一度の花火大会。
私にとっての、大事な大事な日。
__今日、私は、神威に告白する。


『えっとー、まず何食べる?』

「焼きそばとたこ焼きとりんご飴とわたがしと、あとチョコバナナに…」

『そんなに一気に!?』

指を折って数え始めた神威。食べものへの執着が凄まじいのは健在のようだ。
私の話を聞いているのか居ないのか、やきそばの屋台に直進しようとする神威を慌てて追いかけた。


***


神威と初めて話したのは中学一年のとき。
たまたま隣になった席。浮いた見た目から、私は神威という人物にいいイメージを抱いていなくて。
ほとんど会話を交わさなかった。


「ちょっとちょっと、これ俺のなんだけど」

『…え?なんでよ』

ある日の給食、人気の揚げパンのおかわりじゃんけん。みごと勝ち抜いた私は、たったひとつ残っていた揚げパンを回収しようとしていた。
しかし、残っていた、ということは、それは誰かが食べるはずの分。午前中学校を休んでいた、神威の分だった。そして、給食の時にひょっこりと登校してきて、私が勝ち取った揚げパンを「だってそれ、俺のやつじゃん」と揚げパンを取り上げようとしてきた神威。

今考えれば、遅刻してきた人が自分の分の給食を食べようとするのは当たり前のこと。いや、当時もわかっていたはず。
だけど、熾烈なじゃんけん争いを戦い抜いて手に入れたこの揚げパンを、あっさりと手渡す気にはなれなかった。

『じゃんけんで勝ったんだよ、私』

「知らないって」

神威はにこにこと笑ったまま揚げパンの入ったお皿を持ち上げた。それがまたむかついて、私もお皿をひっぱる。
なにくそ、と揚げパンを取り戻そうとする私。
渡さん、と避ける神威。

ちびっ子レベルの争いは、唐突に終わった。


『あああー!』

オ ウ セ 2→←ハ ナ ビ 5



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みるくれーぷあいす(プロフ) - 氷華さん» ありがとうございます!嬉しい限りです! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 神威君ーーーーーーーーー! この小説いいね♪ (2019年12月25日 12時) (レス) id: e5c89771f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月27日 1時

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