ホ ン イ《高杉晋助》 ページ1
*****
ホ ン イ
高杉晋助
*****
Aside
·
朝はしっかりと目覚まし時計の音と同時に起きる。
制服は着崩すことなくきちんと身につけ、朝ごはんはよく噛んで味わって食べる。
ちゃんと家族に行ってきますを言ってから家を出て、電車の時間に遅れることなく駅に到着。
電車では読書をして過ごし、高校のある駅で降りる。
これがいつもの私のルーティーンだ。
規則正しく、折り目正しく。穏やかな朝の過ごし方に、自然と頬が緩む。
このまま、登校時間に遅れることなく学校に行き、席につき、支度をして、ホームルームまでまた読書。予定を頭の中で確認し、日常が滞りなく遂行されていることに安堵を覚える。
が。
「よォA、おはよう」
『…どうも、高杉先輩』
今日も現れた、私の世界の平和を乱す怪獣。
まるで隣で歩くのが当たり前とでも言いたげにピタリと横についてくる。
はああ、とため息をついた。
日常クラッシャー、その名も高杉晋助。
私より一つ年上の先輩、三年Z組。
「なんだ、朝から憂鬱そうだなァ」
『誰のせいだと思ってるんですか』
高校中、下手したらこの地域内でも有名なカリスマヤンキー、高杉晋助先輩。
わたしに油を売っている暇があるなんて、ヤンキーは暇なのか。
「へえ、同級生に嫌な奴でもいんのか?」
『いや、貴方のことなんですけど』
何もした覚えねえぞ、と笑う高杉先輩。
ここでもう、穏やかに駅から高校まで歩くという私のプランは崩れ去った。
同じ制服を着た学生達がチラチラとこっちを見ている。先輩が私にくっつき出した頃は驚き、その後は疑い、恐怖。彼らの表情は少しずつ変化していっている。
___最悪だ。
なにもかもこの先輩のせいで…と、私は隣の高杉晋助を睨みつける。
先輩はどこ吹く風、と言った様子で空を見上げていた。
ああ、とまたため息が出る。
なんでこの人、私にくっつくかな。
きっかけは、多分、1ヶ月と少し前の事だ。
***
その日の夕方は突然大雨になって。
お天気お姉さんの言うことを聞き、大きめの傘を持ってきていた私は、傘がないと騒ぐクラスメイトたちを尻目にさっさと昇降口を出ようとしていた。
昔からあまり友達はいない。中学校の頃は何人か話す相手もいたけど、銀魂高校に入ってからは友達と呼べるような人は一人もいない状態だ。別に構わない。一人でいるのは楽だし、誰かとくっついて行動する必要性も感じなかったからだ。
このまま卒業するんだろう、と思っていた。
彼を見つけるまでは。
45人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 氷華さん» ありがとうございます!嬉しい限りです! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 神威君ーーーーーーーーー! この小説いいね♪ (2019年12月25日 12時) (レス) id: e5c89771f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月27日 1時