弄ぶ演奏者 ページ10
Aside
·
「んで?交換したの、連絡先」
『したよ』
「バス変えたか?元彼と同じやつに」
『…変えたよ』
私が答えると、彼はぶっくと吹き出した。失礼なやつ。
「いやあ、マジか。別れる時ぎゃんぎゃん騒いでたのにな」
そう言ってコップに入ったコーラを飲んだのは、私のいとこ、宇髄天元だ。
彼はそれなりに名の知れたピアニストである。テレビに出ることもあるし、コンサートはかなり人気。おまけにイケメン。派手なメイクを落としてラフなパーカー姿でいる今も、女性客に二度見されるくらいには。
普段は全国各地を飛び回っているのだが、近くでコンサートを開くそうで。しばらくこの辺に滞在するから会おうと電話が来て、ファミレスでご飯を食べている現在に至る。
善逸と再会して一週間近くが経った。
私は結局バスを変え、朝は毎日善逸と一緒に通学している。そして、スマホにはしっかり【我妻善逸】が追加されているのだ。
私が善逸と別れる時に大騒ぎしたのを知っているからか、天元はにやにやと得意顔だ。
「ほー、なるほどなぁ」
『なに。なんかむかつくんだけどその顔』
わざとらしく腕を組む天元に苦言を呈すると、彼はその笑みを深めた。
そして、言った。
「つまり、Aは元彼に派手に惚れ直しちまったってわけだ」
『…んんん!?はぁ!?』
とんでもない爆弾発言。惚れ直した?私が?善逸に?うっそでしょ?
「だって、そいつが大人になってて、ドキドキしたんだろ?」
『…まぁ』
「また遊びたいって言われて、嬉しかったんだろ?」
『…ま、まぁ』
「ほら惚れてる」
『違うから!』
違う違う、そんなわけない。確かに善逸の姿に心臓は揺さぶられるし、冬なのに体は熱くなるけど。でも、これは善逸の毒気にあてられてるだけで、ぜったい、好きになったんじゃない。
認めない、認めないぞ私は。
「なんでそんなムキになってんだよ」
『なってない』
「なってるじゃんか」
…なんだか天元の手のひらの上で遊ばれてる気がする。
それに。違うけど。善逸を今更好きになったって、遅いし。さんざん喧嘩して別れたくせに、恋しちゃっただなんて、笑えないし。
…何に言い訳してるんだよ、私は。
「そんで、そいつから連絡は来たの?」
『来てないよ。毎朝会ってるしね』
ちょっと残念、と一瞬思ってしまって、慌てて内心頭をふる。
「じゃお前から連絡すれば?遊びたいですって」
『んな、』
しないよ、と言おうとしたその瞬間。
──ぴろん。
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凛櫻 - 心臓が飛び出そうなぐらいキュンキュンしました…!! え、善逸カッコ良すぎでしょ、、が止まりませんでした!! 素敵な作品をどうもありがとう!! (2020年5月18日 11時) (レス) id: c829f486b3 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - りついちさん» ありがとうございます!鬼滅のキャラを現代でちゃんと動かせているか結構不安だったので、楽しんでいただけてよかったです! (2020年2月19日 22時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
りついち - 完結おめでとうございます!!現パロの純な恋愛物語って新鮮だったので毎回読むのが楽しみで楽しみで…本当に素敵なお話をありがとうございました! (2020年2月19日 21時) (レス) id: 9c40eb9251 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 羽結さん» ありがとうございます!楽しんで読んでいただけたようで、嬉しい限りです。 (2020年2月17日 10時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
羽結(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました、毎回毎回の更新にドキドキしてました、、本当に素晴らしかったです、お疲れ様でした!!! (2020年2月17日 7時) (レス) id: ca2da2f188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年12月24日 16時