懐かしさとの邂逅 ページ9
Aside
·
先に席に戻っていた善逸のところにトレーを持って向かう。脳内では、甘露寺さんの「とっても素敵なカップル」という発言と、キュートなウインクがずっと再生されていた。
「おかえり。さっ、食べよ」
善逸のトレーにのっているのは、いちごのソースがかかったドーナツと、チョコのフレンチクルーラー。それと、カルピスウォーター。
それを見て、私は思わず善逸に言った。
『ドーナツの好みは、変わってないんだ』
…付き合っていたときも、彼はこれらのドーナツと飲み物が大好物だった。ドーナツショップに来れば絶対に食べていた。甘くないの？と聞いてみても、《これおいしいんだもん。外せないよ！》と強く断定していた覚えがある。
『善逸、すごく大人っぽくなってたから。食べ物の好みも変わったのかなって思ってたんだけど』
態度や見た目がちょっと変わっても、食べ物の好みは変わらないんだな。妙に納得して善逸に告げる。
「Aも、大人っぽくなったよね。なんか、綺麗になった」
善逸の言葉に、私はドーナツに向けていた視線をあげた。
…綺麗に？なった？え？
善逸はぱちくりと目を瞬かせたあと、「あーっ、と」と慌て始める。
「ごごごごめん。気持ち悪かったよね、いやその、心の声が漏れたというか、とにかく、気にしないで！！」
あわあわと身振り手振りをまじえて謝罪する善逸。
あ、懐かしい。
私がよく知る善逸は、こんな感じだった。慌てると色々なことを口走ってたっけ。
昨日再会してからずっと崩れていなかった微笑みが口元を去り、本気で焦っている善逸。久しぶりに見た彼の姿に、私は吹き出した。
『あはは、そんな焦んなくていいのに』
「いやその、ごめんよ…」
しおらしく眉を下げた善逸にまた笑いながら、私はじんわりと、胸があたたかくなるのを感じていた。
***
気づけば窓の外は暗くなり始めていて、そこでようやく善逸と長い間喋っていたことを知る。
お互いの近況報告から始まって、共通の知人の話だったり、噂話だったり。初めはちょっとドキドキしていたけど、善逸と話す時の心地良さは変わっていなくて。
…なんだかとても、安心する時間だった。
「わ、もう夕方？冬は日が沈むの早いなあ」
善逸も外を見て声を上げた。金髪がさらりと揺れる。
なんとなくお開きの雰囲気が漂ったところで、善逸が自分のスマホを取り出した。
「よかったら、改めて連絡先交換しない？…また遊びたいな、なんて」
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凛櫻 - 心臓が飛び出そうなぐらいキュンキュンしました…！！ え、善逸カッコ良すぎでしょ、、が止まりませんでした！！ 素敵な作品をどうもありがとう！！ (2020年5月18日 11時) (
レス) id: c829f486b3 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - りついちさん» ありがとうございます！鬼滅のキャラを現代でちゃんと動かせているか結構不安だったので、楽しんでいただけてよかったです！ (2020年2月19日 22時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
りついち - 完結おめでとうございます！！現パロの純な恋愛物語って新鮮だったので毎回読むのが楽しみで楽しみで…本当に素敵なお話をありがとうございました！ (2020年2月19日 21時) (レス) id: 9c40eb9251 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 羽結さん» ありがとうございます！楽しんで読んでいただけたようで、嬉しい限りです。 (2020年2月17日 10時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
羽結(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました、毎回毎回の更新にドキドキしてました、、本当に素晴らしかったです、お疲れ様でした！！！ (2020年2月17日 7時) (レス) id: ca2da2f188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくれーぷあいす | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時：2019年12月24日 16時
