【鬼滅の刃】元彼と、もういちど【我妻善逸】

伝えたいこと ページ46

善逸side
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…喜んでくれるだろうか。
箱を開けるAを見ながら、俺は緊張を誤魔化すために右手を握りしめた。

『…わぁ』

Aにあげたのは、ネックレスだ。
散々悩み店員さんと相談して選んだ、シンプルなハートのフォルムにストーンが浮かんでいるもの。店員さんに太鼓判を押されて買ったものの、女の人の趣味は分からないし、結構不安が大きい。

『すごく素敵！こんな高そうなの貰っちゃっていいの？』

Aは驚いた様子で手の中のネックレスと俺の顔を見比べた。もちろん、と頷く。
ありがとう、と目を輝かせ、Aは夜景にネックレスをかざす。よかった、気に入ってくれたらしい。店員さんに心から感謝する。

『早速つけていい？』

「うん。喜んでもらえてよかった」

Aは銀色の留め金を外して、首の後ろに手を回した。
…なかなかうまくつけられないようで、手をごそごそと動かしている。あれ、と眉を寄せるAに、俺は思わず「つけようか？」と立ち上がった。

『ごめん、お願い』

苦笑するAの隣に座って、彼女の首元に手を伸ばす。
ネックレスを受け取って、留め金を動かした。
…にしても、好きな人の首筋に手を回すというのは、なんだか、背徳感を覚える。
ただでさえ高鳴っている心臓が限界値を超えて暴れ回って、Aに聞こえているんじゃないかとまで思ってしまった。

「はい、できた」

『ありがとう』

Aは目を細めて、きらりと光るネックレスの飾り部分を指の腹で触る。そして俺の顔を見て、照れたように笑った。

──もうすぐ、ゴンドラが頂上に到達しようとしていた。


《ド派手に、Aに告れ》


俺が今日成すべき、最後のこと。
それは、Aに想いを告げることだ。

ふう、と息を吐いて呼吸を整える。
落ち着け。この機を逃したら、きっともう伝えられなくなる。
再び窓の外に目をやったAを見つめた。
正直、不安しかない。告白なんて高校のあの時以来だし、ましてや一回別れているのだ。これで関係が悪化したら、多分俺は大声で泣く。

でも、今度こそは臆病にならないと決めたのだ。逃げない、と。
もう、離れたくはない。
きちんと伝える。自分の気持ちを、ちゃんと。


「A」

振り向いたAの瞳をまっすぐ見返して、俺は口を動かした。

「伝えたいことがあるんだ」

緊張で口の中が乾く。声が震えていないのが救いだ。息を吸い直す。
そして俺はようやく、言うことが出来た。




「あなたのことが、好きです」

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