なぜこうなった ページ27
善逸side
·
…いや、なんで?
どうして、こうなったんだろうか。
テーブルを挟んだ目の前でニコニコ気味の悪い笑みを浮かべる長身の男。以前、駅のホームでAと一緒にいた男。
…なんで俺は今、その男とお茶をしているんだよ。
いつも通りのはずだった。朝起きて、支度して、家を出て、Aとバスで会って、話して、降りて、大学の講義を受けて。
そこまでは確実に、今月に入ってから変わらない生活パターンを繰り返していたはずだった。
それで、だ。
帰り道で、唐突に声をかけられて。
振り向いたら、この男がいて。
「君がゼンイツくん?」
ボア生地の上着を羽織り、整った顔いっぱいに笑顔を浮かべ、俺の名を呼ぶその男。
Aが言うには──確か名前は、「てんげん」だったか。
会ったのは、二回目だった。いや、前回は向かい側のホームでAと仲睦まじくしていたのを見ただけだが。
…なんで俺の名前を知ってるんだよ。
「あ、俺、宇髄天元。Aの
宇髄さんはニコニコ顔を崩さないまま、俺への距離を詰めてくる。
なにこいつ、距離近い。
「…こ、こんにちは」
とりあえず挨拶の言葉を口に出してみる。
すると宇髄さんは満足気に頷いて、言った。
「こんな道端じゃ何だしよ、どっか寄ってちょっと話さねえ?あ、あそこにスタバあるし」
な?と誘ってくる彼には、断れないような威圧感があって。
…それに。
この宇髄天元なる男は、Aの知り合いで。
駅のホームでわざとらしく、Aの頭に手をのっけて、俺に笑いかけてきた人物であって。
そんな人物を、無視できるわけがなかった。
「…いいですよ」
ほぼ初対面の人間といきなりスタバに行くのはどうかと思ったが、Aのことを考えれば、自ずと答えは出た。
Aと異様に距離が近い人物、宇髄天元。
俺は彼と、話してみることにしたのだ。
俺はテーブル越しに宇髄さんをちらりと見ながら、キャラメル風味のフラペチーノをすする。
宇髄さんは、クリスマスシーズン限定だというフラペチーノを一口飲んで、「甘っ」と呟いた。でしょうね。
「じゃ、早速ひとつ質問な」
「…はい」
とん、とフラペチーノをテーブルに置いて、宇髄さんは俺をじっと見る。
「ゼンイツくん、Aの元彼だって聞いたんだわ。でさ」
宇髄さんはそこで一息ついたあと、尋ねた。
「君、まだAのこと好きなの?」
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凛櫻 - 心臓が飛び出そうなぐらいキュンキュンしました…!! え、善逸カッコ良すぎでしょ、、が止まりませんでした!! 素敵な作品をどうもありがとう!! (2020年5月18日 11時) (レス) id: c829f486b3 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - りついちさん» ありがとうございます!鬼滅のキャラを現代でちゃんと動かせているか結構不安だったので、楽しんでいただけてよかったです! (2020年2月19日 22時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
りついち - 完結おめでとうございます!!現パロの純な恋愛物語って新鮮だったので毎回読むのが楽しみで楽しみで…本当に素敵なお話をありがとうございました! (2020年2月19日 21時) (レス) id: 9c40eb9251 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 羽結さん» ありがとうございます!楽しんで読んでいただけたようで、嬉しい限りです。 (2020年2月17日 10時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
羽結(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました、毎回毎回の更新にドキドキしてました、、本当に素晴らしかったです、お疲れ様でした!!! (2020年2月17日 7時) (レス) id: ca2da2f188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年12月24日 16時