不可解な合図 ページ19
Aside
·
線路をはさんだ反対側のホームに立ってスマホを見ているのは、善逸だった。少し離れているけど、特徴的な金髪だ、間違いはないだろう。
「あれが元彼？ゼンイツくん？」
天元がすかさず反応する。私はうん、と頷いた。
その時、善逸がふっと顔を上げた。当然、彼をじっと見ていた私と目がばっちり合う。とりあえず片手を振ってみた。
善逸も右手を軽くあげたが、何故かその体勢で固まった。
「…ほうほう、ほー。そーゆーことね」
『え、なに、天元』
天元がわざとらしく独りごちて、突然私の頭に腕を乗せてきた。…微妙に重い。
そうだよな、ほー、とニヤつきを深める天元は、善逸をしっかり見ていて。
「いや別に、なんでもねえよ。なんでもなくはないけど」
『はあ？』
なんだそれ。全然意味わからない。
天元にロックオンされた善逸はというと、さっきの片手を上げたままの体勢でこちらをずっと見ていた。…ちゃんとは見えないけど、なんか、眉をひそめてる？善逸もなにやってんだろ。
「ふふん、ま、これでいーだろ」
天元は笑ったまま、ぐりぐりと腕を頭に押し付けてくる。さすがに少し腹が立ってきて、彼の手をどかそうとした時、私たちのホームに電車が滑り込んできた。
善逸が見えなくなると、天元はぱっと腕を離した。…なにがしたかったんだろ。
『いいって、何が？』
「お前は気にしなくていいから。いやあ、愉快愉快。ほら、乗るぞ」
『あ、うん』
天元に促されて、電車に乗る。車内はそれなりに混んでいたから、窓から善逸を見ることは叶わなかった。
さっきの微妙な顔の善逸を思い出す。びっくりしたあと、ちょっと不機嫌になってたような、気もする。
天元と善逸で、男同士しか分からない合図でもしてたのか？いやでも、初対面のはずだけどな。
いくら聞いても天元は教えてくれないままで、彼は私の降りる駅の一つ手前で降りていってしまった。
…本当に、なんだったんだ。
***
翌朝のバスでも、いつものように善逸が隣の席にやってきた。
おはよう、と声をかけると、善逸はおはようと微笑む。相変わらず穏やかで大人びた笑顔でドキドキしてしまうのだけれど、なんだか少し焦っているような気がして、私は首を傾げた。
『どうしたの善逸、なんか焦ってる？』
「え、い、いや。…えっとさ、昨日の人って」
『…ああ、天元？』
私がいとこの名を口に出すと、彼は何故か「てんげん！？」と珍しく目を丸くして復唱した。
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凛櫻 - 心臓が飛び出そうなぐらいキュンキュンしました…！！ え、善逸カッコ良すぎでしょ、、が止まりませんでした！！ 素敵な作品をどうもありがとう！！ (2020年5月18日 11時) (
レス) id: c829f486b3 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - りついちさん» ありがとうございます！鬼滅のキャラを現代でちゃんと動かせているか結構不安だったので、楽しんでいただけてよかったです！ (2020年2月19日 22時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
りついち - 完結おめでとうございます！！現パロの純な恋愛物語って新鮮だったので毎回読むのが楽しみで楽しみで…本当に素敵なお話をありがとうございました！ (2020年2月19日 21時) (レス) id: 9c40eb9251 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 羽結さん» ありがとうございます！楽しんで読んでいただけたようで、嬉しい限りです。 (2020年2月17日 10時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
羽結(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました、毎回毎回の更新にドキドキしてました、、本当に素晴らしかったです、お疲れ様でした！！！ (2020年2月17日 7時) (レス) id: ca2da2f188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくれーぷあいす | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時：2019年12月24日 16時
