記憶とぬくもりと ページ14
Aside
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一瞬きょとりと目を瞬かせたあと、大袈裟なくらいに身を反らして喜んだ善逸。やった、やった、と何度も拳を握りしめ、頬を緩めている。
「んふふ、いいの?俺、Aちゃんの彼氏なんだよね?んふふ」
今が幸せのピークかも、なんてのたまう善逸は、本当に本当に、嬉しそうで。
私もつられて笑ってしまう。善逸が自分を好きでいてくれた嬉しさと、私と付き合うことにここまで喜んでいるという嬉しさがまざって、ふいに、心がじんわりとあったまった。
思わず、口からこぼしてしまう。
──ああ、本当に、善逸のこと、
『すきだなあ』
***
目が覚めた。
どこかに寝かされている。薄暗い。
だんだんと意識がはっきりしてきて、同時に頭もずきずきと重くなり始めていた。
見知らぬ天井に、自分の慣れたものとは違う布団の感覚。
ゆっくり身を起こして、部屋の中を見回す。
本棚や机、調度品。
自分が今寝ていたベッド。
…ここ、どこ?
そこで、ようやく思い出した。
私は、善逸と呑んでいて。
それで多分、飲みすぎて意識飛んじゃって。
で、善逸におんぶされて運ばれて…おんぶ!?
私はぼんやりとした直近の記憶を手繰り寄せる。気づいたら善逸の背中の上で、それで私、確か彼にひっついて…
やややや、やばい。何やってんだよ。酔った勢いにもほどがある。恥ずかしい。猛烈に恥ずかしい。ぼっと音がでたんじゃないかってくらいに体と顔が熱くなったのがわかった。
もうほんと何やってんだ。もう!
…善逸に運ばれたということは、ここは善逸の家なのだろうか。この前のドーナツショップで、一人暮らしをしてるんだ、みたいなこと言ってたし。
視線をカーテンがかかったままの窓にうつして、ぎょっとする。カーテンの隙間から、日の光がさしこんでいた。
あれ、これ、もしかして、朝!?
私、善逸の部屋で朝迎えちゃったの!?
その時、ガチャリと部屋の扉が開いた。
「あ、起きた?おはよう、A」
ここ最近バスで会うときの笑顔で善逸が入ってきた。私は確信する。
『これ、私、酔い潰れて善逸の家まで運んでもらっちゃった…?』
「はは、うーん、まあ、そうかな」
ゆるやかに肯定する善逸。
私はベッドの上で正座して、全力で頭を下げた。
『ごめんなさい!!ご迷惑おかけしました!』
「いやいいよいいよ、大丈夫だから」
ちょっと焦った声が聞こえて、私は頭を上げる。本当、申し訳ない。
『しかもこれ善逸のベッドだよね?一晩借りちゃったし…』
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凛櫻 - 心臓が飛び出そうなぐらいキュンキュンしました…!! え、善逸カッコ良すぎでしょ、、が止まりませんでした!! 素敵な作品をどうもありがとう!! (2020年5月18日 11時) (レス) id: c829f486b3 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - りついちさん» ありがとうございます!鬼滅のキャラを現代でちゃんと動かせているか結構不安だったので、楽しんでいただけてよかったです! (2020年2月19日 22時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
りついち - 完結おめでとうございます!!現パロの純な恋愛物語って新鮮だったので毎回読むのが楽しみで楽しみで…本当に素敵なお話をありがとうございました! (2020年2月19日 21時) (レス) id: 9c40eb9251 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 羽結さん» ありがとうございます!楽しんで読んでいただけたようで、嬉しい限りです。 (2020年2月17日 10時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
羽結(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました、毎回毎回の更新にドキドキしてました、、本当に素晴らしかったです、お疲れ様でした!!! (2020年2月17日 7時) (レス) id: ca2da2f188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年12月24日 16時