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銀時side
·

最悪の気分で、俺は家に向かっていた。
ごめんなさい、さようなら、という声が耳元で蘇る。

──俺は今、大学四年生。Aは、俺が大学進学のために東京から越してきた頃に付き合い始めた、彼女だった。
付き合って約四年、上手くいっていると思っていたのに。今日、彼女の家に呼び出されたかと思うと、突然別れを告げられた。
あまりにも唐突だったから、当然混乱した。なんで、と聞くと『銀時はわたしといる時楽しくなさそうだし…そんな銀時を見るのにも疲れちゃったの。ごめん』との返事。
楽しくない、と言うよりは疲れていた。俺は就活が全然上手くいかず、内定が貰えない状態が続いている。そのストレスが伝わっていたのかもしれない。

「はぁ…」

いくら弁明しようとしても悲しそうに首を振るAに、何も言えなくなってしまった。そしてそのまま彼女の家を出たのだ。最悪。就活が上手くいかない中、Aは心の拠り所だったのに。本当に、ツイていない。

自宅のマンションの郵便受けをあけ、入っていた封筒の中の【不採用通知】を確認し、またため息をついた。

彼女に振られ、内定も貰えず、ついでに大学の単位も危ない。悪いことづくしだ。
なんか幸せなことでも起きねえかな、あーあ、とやけくそ気味になりながら階段をあがり、鍵を開けて自分の家に入った。
封筒を放り投げて電気をつけ、どたどたとリビングに向かい──


「うっ、うわァァ!なんだお前!」

俺は驚いて思わず床に尻もちをつく。
…黒頭巾を被った、ヒゲを生やしている男がリビングの椅子に座って、ポテトチップスを食べていた。
は?は?誰だこいつ。こんな知り合いはいないし、第一なんで俺の部屋に上がり込んでるわけ!?しかも不気味な格好で!
俺は尻もちを着いたまま後ずさり、「だだだ誰だ、出ていけ!つーかポテチ食べんな!」と怒鳴った。しかし男は聞いていない様子で、ばりばりとポテチを食し続けている。

「んだこれ…そうだ、警察」

全く反応しないが、明らかに不法侵入者だ。俺は震える手で携帯電話を取りだし、110番通報をする。

「た、助けてください、変なのが家に…」


***

「いや、何言ってんの、変な奴って?」

「だぁかぁらぁ!そこにいるでしょ!」

通報してすぐやってきた制服姿のおじさん警官。しかし、何故か話が通じない。どこにも不審者はいない、と断言してきた。

「いますって!黒頭巾で、髭生えてて…」

その途端、警官が目を見開いた。

「そうか…君…」

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みるくれーぷあいす(プロフ) - ちぃなさん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年10月30日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃな - ホラー好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます。 (2019年10月29日 14時) (レス) id: 43ae00df60 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 綾葉メグさん» ありがとうございます!マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします。 (2019年10月27日 17時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年10月27日 15時) (レス) id: fe3feae032 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/  
作成日時:2019年10月15日 1時

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