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土方side
·
──夏の日の午後。
「たまにはこういうのも悪くないかもな！」
ボールが近藤さんの手から放たれる。
俺はそれを受け取り、投げながら答えた。
「そうだな」
俺と近藤さんは、昔からの友人だ。散歩をしていたら何故かボールを持っていた近藤さんに遭遇し、人気のないこの公園でキャッチボールをしている。
「実はトシに言っておきたいことがあってなぁ」
「なんだ？」
ボールを受け取り、返す。
キャッチボールなんて何年ぶりだろうか。
「来週のミツバ殿の誕生日に、思い切って告白しようと思って」
──近藤さんが出したボールは、俺の後方にすっとんでいった。
返事が、パスが、できなかった。
…告白する？ミツバに？
近所に住む沖田ミツバも、昔からの顔なじみだった。小さい頃は、三人でよく行動していた。
いつの間に、近藤さんは。
ミツバを、そういう対象に。
あまりの急展開。
…俺は、少なからず衝撃を受けたらしい。
そこから近藤さんとかわした会話はいまいち覚えていない。
***
帰宅して、兄の「おかえり」に「ただいま」を返し、自分の部屋に入る。
《思い切って告白しようと思って》
机の上に飾ってある写真立て。
俺はそれを手に取って眺める。
歯をむき出してピースサインをする近藤さんと、上品に微笑むミツバと、その隣で仏頂面をしている俺と、なんでだか俺の頬を引っ張っているミツバの弟、総悟。
かなり昔に撮った写真。
今も変わらないミツバの微笑を見て、俺はため息をついた。
あんなに昔から、仲が良かったのだ。
近藤さんがミツバをどう思っていたって、否定する権利はないのに。
…ああ、もやもやする。腹が立つ。
そんな自分が気味悪い。
二度目のため息をついた時、スマートフォンが音を立てた。着信だ。
画面に映った着信相手を見て、俺は思わず息を飲んだ。
【沖田ミツバ】。
…測ったようなタイミング。
彼女から電話が来るだなんて稀で、応答ボタンを押すのをしばし迷った。
最終的に、「もしもし」と電話に出たわけだが。
《大変…っ！》
予想以上に切羽詰まった彼女の声。
《近藤さんが！》
ざらりと、胸の辺りで嫌な感触がした。
《近藤さんが、今日の夕方、亡くなったって…！》
「…は…？」
涙混じりのミツバの声が語る。
俺と別れたあと、石段を踏み外して頭を打ってしまい、亡くなったのだと。
脳裏に、さっきの近藤さんの笑顔が蘇る。
あんなに、笑ってたくせに、それに──
嘘だろ、という呟きが零れた。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - ちぃなさん» ありがとうございます！これからも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年10月30日 16時) (
レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃな - ホラー好きなので嬉しいです！更新楽しみにしてます。 (2019年10月29日 14時) (レス) id: 43ae00df60 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 綾葉メグさん» ありがとうございます！マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします。 (2019年10月27日 17時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます！ (2019年10月27日 15時) (レス) id: fe3feae032 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくれーぷあいす | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時：2019年10月15日 1時
