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銀時side
·

「っていうか銀ちゃんパイセン、彼女と別れたんだナ」

イマキヨさんの話にひと段落がつくと、神楽はニヤリと笑って痛いところをついてきた。

「う、うるせえな、しょうがねえだろ」

「その割には未練タラタラアル」

神楽が指さしたのは、俺がいつも身につけている銀色の腕時計。付き合いたての頃、誕生日にAがくれたものだ。

「二人は仲がいいカップルだって、校内でも有名だったのに。こんなことあるんですね」

「なんっか腹立つ!」

新八も若干馬鹿にしたような言い方をしてきた。万年彼女無しメガネのくせに、と返してやる。

「まあ、イマキヨさん?のご利益があれば復縁出来るかもネ、頑張れよ」

「お前は何様だ」

神楽の生暖かい声援が逆に突き刺さった。


***


「やっぱいるのか…」

帰宅後、リビングに行けば黒頭巾の男、イマキヨさんがかっぱえびせんをほおばっていた。本当に座敷わらしなのか半信半疑だが、常識じゃありえない存在というのは確かだ。

「あのう、えっと、イマキヨさんですか?」

「…」

返事なし。かっぱえびせんは食べ続けている。

「幸せを運ぶって、マジなんすか?」

「…」

どうやら俺の問いかけには答えないらしい。ひたすらかっぱえびせんを口に運んでいる。それ、どこから貰ってきたんだ。

その時、俺の携帯が鳴った。電話だ。
着信相手は、以前最終面接を受けた企業だった。
まさか、早速幸運が!?
ちらりとイマキヨさんを見て、俺は電話に出た。

「はい、もしもし!はい、はい、…ああ、はい、いえ、すみません。はい、失礼します」

…不採用だった。
最終面接まで漕ぎ着けたのはこの会社だけだったのに、不採用。くそ、まだ就活終わんねーのかよ。
盛大に舌打ちをして、携帯電話をテーブルに置く。

ふと、イマキヨさんを見る。
フードに隠れて口元しか見えない顔だったが。
その口元は──笑っていた。
まるで面接に落ちた俺を笑うかのように。

「何笑ってんだコノヤロー!」

こちとら必死に履歴書書いて作り笑いして嘘っぱち並べてたのだ。地獄で戦ってたのに。
それを見知らぬ男に笑われたのにものっすごくイラついて、俺は思わずイマキヨさんを引っ張って玄関に連れていき、家から追い出してしまった。

…あ、やべ、やらかした。

イマキヨさんを無理やり追い出さないってルール、あったんだった。
どうなっちまうんだと思いつつ玄関からリビングに戻る。

「ええ…」


…イマキヨさんは、なんと二人に増えていた。

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みるくれーぷあいす(プロフ) - ちぃなさん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年10月30日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃな - ホラー好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます。 (2019年10月29日 14時) (レス) id: 43ae00df60 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷあいす(プロフ) - 綾葉メグさん» ありがとうございます!マイペースな更新ですが、これからもよろしくお願いします。 (2019年10月27日 17時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
綾葉メグ(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年10月27日 15時) (レス) id: fe3feae032 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/  
作成日時:2019年10月15日 1時

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