ヒ ミ ツ 3 ページ38
沖田side
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俺にしては真面目に、従順に、秘密の約束を守っていた。俺と彼女だけの秘密、たったそれだけをキープしておきたかったために。
「なんでまたぁ!?」
「神崎さんとの一緒率高すぎでしょあの人!」
「イケメンだからってコノヤロー」
「我々を嘲笑っているのか!」
席替え。
本当に偶然、神崎と席が隣になった。
周りの羨望をひしひしと感じながら机を動かした。神崎は相変わらず静かだけど、俺だけの前だと京言葉マシンガントーク。それが誇らしい、と感じてしまう時点でもうきっと末期だな。
付き合いたい、とは特に思わなかった。きっと神崎にとっての俺は《秘密を守ってくれる律儀なクラスメイト》以外の何者でもないだろうし。秘密を共有しているだけで、十分。
「よろしく」
『…よろしくね』
一言だけ告げれば、遠い微笑とともに一言だけ返ってきた。おしとやかモード(神崎談)だ。
周囲の男子共の頭から湯気が出ているんじゃないか、なんて考えながらちらりと神崎を改めて見やる。
神崎は俺の視線に気づき、少しだけあの笑顔を見せる。俺が惚れてしまった表情。ひまわりと太陽を同時に見つけたみたいな、笑顔。
「あー…」
ほんと、末期だな、俺は。
***
『まさか席が隣になるなんて!沖田はんとは何かと縁がありますなあ』
銀八に二人揃って雑用を言いつけられ、まあ神崎とならいいやなんて本当にお花畑みたいなことを考えながら作業していると、神崎がいつものように喋り出した。
『今のところはうちはおしとやか少女でうまく通ってはりまして。沖田はんのおかげどす。このまま秘密、どうか守ってください』
にこにこ、というよりは、にぱにぱ、と言う擬態語が合うだろう笑顔。なんで方言になると敬語になるんだろう、彼女。
「分かってまさァ。そういや、クラスはどうでィ?うるさいだろィ、Z組の奴ら」
おしとやかを演じる彼女に恥ずかしさもなくアプローチを続けるクラスの男子、変わった雰囲気の彼女に近づくたくさんの女子。普段は神崎の周りは人でいっぱいだ。
『みんな元気で優しくて、助かってます。なんか、動物園みたいじゃないどすか?このクラス』
「…それは褒めてんのか貶してんのか」
動物園って、と突っ込むと神崎は声を上げて、跳ねるように笑った。
『楽しいクラスの一員になれて、ほんまに嬉しいわ。それになにより、お』
「……A、そんな喋るアルか!」
「あ、ちょ、しーっ!」
教室の入口に、何人かのクラスメイトが、いた。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 鈴神さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます!これからも鈴神さんにそう思っていただけるよう頑張ります!よろしくお願いします。 (2019年8月24日 13時) (レス) id: 0de76de774 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - こんにちは!突然ごめんなさい(汗 作品読ませて頂いたんですが、一人一人の気持ちがとても丁寧に書かれていて一つ一つの話にすごく惹かれました!!ほんとに素敵なお話ばかりなのでこれからも応援してます!頑張ってください!! (2019年8月24日 1時) (レス) id: de3968cf62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月13日 1時