チ カ ラ 2 ページ23
Aside
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「いいなあ超能力、俺もほしー」
『あんまり実用性ないけどね』
せいぜい相手の好きな人を暴けるくらいだ。まあ高校生の今はいろんな人をゆさぶれて楽しかったけど。
坂田が私の能力を知っているのは、かつて私が数字=鼓動かを確認するためジャンプさせた小三の時のクラスメイトが坂田銀時だったことがきっかけだった。なんでこんなことやらせたの教えろ教えろと煩かった坂田に思わず超能力があると言ってしまったのだった。
「え、でもメンタリストとかなれるんじゃね?ほら、テレビに出てるやつ」
『そんな簡単なもんじゃないでしょ』
当時からこんなんだった坂田にバレてしまったらすぐ広まると真っ青になり、絶対広めるなと釘をさして守らせ今に至る。神様のいたずらか中学も高校も一緒だった。さすがに大学はバラバラだけど。
「はいみなさん、改めて卒業おめでとう」
そう言いながら入ってきたのは担任の松陽せんせー。みんなバラバラに席に着く。私と坂田もそれにならう。
「みなさん、今から1時間もしたらもうここにはいません」
その言葉にしんとなる教室。
この高校は卒業生来訪を許可しているしこの後クラスで打ち上げ的なものもあるし連絡先も知ってるじゃないか、なんて考えるから私にはロマンも女子力もない(坂田談)んだと思う。
松陽せんせーのありがたいお言葉はゆるゆると続く。
「…そういえば、卒業式ですし、第二ボタンあげたりもらったりする生徒もいるんですかね」
松陽せんせーのぼーっとした結構な発言に、何人かの数字を刻むスピードが上がる。あいつらみんな告白するのか…
「いいですねー、最後にステキな思い出ができると。先生にはありません」
恋とかなかったなあと何度も頷く松陽せんせーに笑いが起こる。
___湿った温かさを含んだ時間が経過し、いよいよ教室を離れる時が来た。クラスメイト達は各々泣いたりはしゃいだりしながら教室を出ていく。この後はこのまま全員カラオケに直行して卒業記念打ち上げが行われる予定だ。
いち、に、さん、し。
靴箱で上履きから靴に履き替えながら彼らの数字をぼんやりと見ていく。やっぱり全体的に速い。
「さ、坂田くん、ちょっといい?」
「…俺?」
そんな会話が聞こえて後方を見やると、結構可愛い見た目の女の子が坂田を呼び止めていた。違うクラスの子だ。
いちにさんし。いちにさんし。
寿命縮んでんじゃないかってくらい異様なスピードで数字が移り変わる女の子。
これ絶対告白だ。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 鈴神さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます!これからも鈴神さんにそう思っていただけるよう頑張ります!よろしくお願いします。 (2019年8月24日 13時) (レス) id: 0de76de774 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - こんにちは!突然ごめんなさい(汗 作品読ませて頂いたんですが、一人一人の気持ちがとても丁寧に書かれていて一つ一つの話にすごく惹かれました!!ほんとに素敵なお話ばかりなのでこれからも応援してます!頑張ってください!! (2019年8月24日 1時) (レス) id: de3968cf62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月13日 1時